バーベルロウ(ベントオーバーロウ)のフォームの解説とよくある間違い

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強く逞しい背中を作り上げるにあたってバーベルロウ(別名:ベントオーバーロウ、ベントオーバーバーベルロウ)は非常に効果的な種目で、『背中のベンチプレス』とも呼ばれるほどの大切な種目です。一方でこの種目はバランスのとり方、バーベルの引き方にコツがあり、それがわかるまでは習得が難しいといった難点もあります。

今回はバーベルロウの動作のポイントをなるべく分かりやすく丁寧に解説しましたのでぜひ参考にしてください。

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バーベルロウの重要性

人間の動作はいくつかの基本要素に分けられ、それぞれを鍛える代表的な種目が以下のように対応しています。

動作 トレーニング種目
しゃがむ スクワット
歩く ランジ
下から上へ垂直に押し上げる オーバーヘッドプレス
前方へ水平に押す ベンチプレス
下から上へ垂直に引き上げる デッドリフト
上から下へ垂直に引き下げる プルアップ
後方へ水平に引く バーベルロウ

これらの基本動作を各種目で鍛えることによって、体全体を万遍なく鍛えることができるというわけです。

しかし、引っ張る(プル系統の)動作は、直接筋肉の動きをみることができないため、とかく動作のイメージがつけづらく、敬遠されがちです。とくにバーベルロウは反動で上げてしまってちっとも背筋群に効いている感じがしないという苦手意識を持っている人が多い種目です。

水平に引くという動作を鍛えることができる種目を取り入れることは、背面の筋肉の強化だけでなく、神経系の連動性を高めることにおいても欠かすことができない要素であり、バーベルロウを行うメリットは大きいです。

バーベルロウで鍛えられる筋肉

ベントオーバーロウ,筋肉

最も効果が得られるのは上背部の筋肉です。トップポジションで肩甲骨を十分引き寄せることによって広背筋が鍛えられ、逆三角形の幅の広い背中が手に入ります。僧帽筋、三角筋後面など上背部の筋群が総合的に鍛えられます。

そして下背部の筋肉です。椎間板の損傷を避けるために脊椎をまっすぐ保つために、バーベルロウの動作中は終始下背部の筋群は緊張を保っています。重力によって下背部が丸まってしまう力が働くので、それに抵抗するために脊柱起立筋群が鍛えられるというわけです。

腹筋にも有効です。腰椎をまっすぐ保つために、腹筋は前面から腰椎を支えています。

その他、姿勢の保持のため、ハムストリングスや臀筋が鍛えられます。

前腕や上腕の筋肉も付加的に鍛えられます。

このようにバーベルロウで働く筋肉は主に自身では直接見ることができない部分がほとんどです。

多くの人は直接自分で目につく胸部や腕や腹筋を鍛えたがり、背中のトレーニングは疎かになりがちで、そのためにバランスの悪い体型につながってしまいます。

バーベルロウを一生懸命行って、強く逞しい背中を作り上げましょう。

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フォームの解説とよくある誤り

諸説ありますが、とくに初心者の場合は、バーを毎回床に置いた状態から始め、1レップごとにいったん床に置くようにしましょう。つまりレップ間にバーが空中に浮いたままにしないようにするということです。バーベルロウに限らず、ウエイトトレーニングにおいて、腰痛を起こさないようにするために脊椎を常にニュートラルな状態に保つということは非常に重要です。いったんバーを床に置くことで、筋緊張時間(time under tension)を保ちにくいというデメリットはありますが、毎回体勢を立て直してから引くことで、脊椎のポジションをニュートラルに保ちやすくなり、安全性が高くなるというメリットがあります。また、パワー(短時間で大きな力を発揮する能力)を高めたい場合も毎回バーを置きなおす方法が適しています。

足幅

垂直跳びをする時くらいを目安に軽く足幅を開いて立ちましょう。デッドリフトと同じくらいの足幅です。

つま先は平行にするか、軽く開いておき、足裏は全面をべったり地面に着けるようにしてください。

バーの位置

つま先の真上くらいにバーがくるようにします。

これはデッドリフトの時よりもつま先に近い位置になります。バーバルロウでは、デッドリフトの時より体幹を前傾させるため、あまり体に近い位置にバーがくると膝が邪魔になってしまうからです。

つま先に合わせて30度ほど開き軽く屈曲しておきます。

バーを拳上した時に膝に当たらないように、膝が前に出すぎないようにしましょう。

グリップ

親指を使わずひっかけるだけのグリップ(サムレスグリップ)はあまりバーベルロウには向きません。順手(ダブルオーバーハンドグリップ)でしっかりバーを握ります。

バーがずり落ちないように、指の付け根でバーを握ります。

左:正しい位置。4本の指の付け根で握っている。右:握る位置が親指側に近くなり、グリップが緩みやすい。

オーバーハンドグリップが基本ですが、アンダーハンドグリップで握る方法はドリアンロウと呼ばれます。上背部よりも広背筋を狙った場合に適用される握り方です。

基本のグリップ幅はベンチプレスより少し狭めになります。これより広くすると、上背部に効かせたいときに有効です。

いずれの場合でも、バーを引き切ったとき前腕が地面と垂直になるようなグリップ幅にするのがポイントです。

標準的な方法。ダブルオーバーハンドグリップアンダーハンドグリップ。より広背筋に効かせたいときに適用。ワイドグリップ。ベンチプレスと同じくらい手幅を広げる。より上背部に効かせたいときに適用。

通常のグリップ幅のときと比べて、ワイドグリップのときは挙上したときに脇が開くようになります。

ワイドグリップのときは、上背部の筋肉や三角筋後部を狙って、脇を開いた姿勢で引く通常のグリップのときの引いた姿勢

手首

曲げたり反らしたりせず、まっすぐにします。

とくに拳上で変な力みが入ると手首が屈曲しやすいので注意しましょう。

image

image手首を屈曲させない

肘を引くイメージをもつことがバーベルロウの重大なポイントです。

慣れないうちはどうしてもバーを引き上げる意識が強くなりすぎて、手を引こうとしてしまいがちです。しかし、そうすると肘が曲がってしまい、ハンマーカールになってしまいます。

悪い例。肘が曲がって、上腕二頭筋のエクササイズになってしまっている

これを矯正するために、手ではなく、肘を引き上げる意識を持ちましょう。

肘の上に乗ったウエイトを引き上げるイメージを持つと良い

肘を引く意識をもつことで肩関節の可動域が大きくなり、その分背部の筋肉が収縮しやすくなります。

胸部

背部が丸まらないように、バーの拳上直前にはしっかり胸を張りましょう。挙上直前に大きく息を吸い込んで胸郭を広げることも役立ちます。

スタートポジションでは横から見るとバーは肩のほぼ真下もしくは、少しだけ肩が前に出た位置するようにします。

上:バーが肩のほぼ真下にきている。

中:バーより肩が前に出すぎている。挙上のときにバーと膝が当たってしまう。

下:バーが体から遠すぎる。これでは真上に引き上げられない。

バーを拳上するとともに両側の肩甲骨をぐっと引き寄せます。

頭部

脊椎全体がニュートラルポジションになるように下方を向いておきましょう。

顎を引きすぎたり見上げたりすると脊椎がニュートラルポジションを保てなくなります。

とくに前方の鏡を見ようとしてフォームを崩す場合が多いので注意してください。

体幹

スタートポジションでは地面と水平にしてください。バーを拳上するに伴い、どうしても少し体幹は起きてしまいますが、なるべく水平を保つようにしましょう。

体幹を起こせば起こすほど、バーベルロウではなくシュラッグという別の種目に近づいていきます。

ベクトルの分解とピタゴラスの定理のみを利用して単純化したモデルでの概算ですが、後方へ引っ張るのにかかる抵抗は、体幹を水平なままにしたのに比べて、体幹がたった30度起きただけで約85%まで減り、45度ともなると約70%になり、60度まで起きるとたったの50%になってしまいます。

つまり一生懸命重たい重量を扱っていても、体幹が起きてしまうと、後方へ引くという動作においてはその重量に見合った十分な効果が得られないということです。しかも重たい重量を扱う分だけ故障のリスクは増してしまいます。

体幹が垂直に近づくほど、広背筋への負荷は減り、僧帽筋などの上背部の筋肉への負荷が高まる。

背部

丸まらないように、反らないように。スタートからフィニッシュまで終始ニュートラルポジションを保ちましょう。

臀部

膝は軽く曲げますが、臀部自体はデッドリフトの時より高く保ちます。そうしなければバーを拳上した時にバーがすねや膝に当たってしまうからです。

こちらがバーベルロウのスタートポジション。バーベルロウ,スタート

一方、こちらがデッドリフトのスタートポジションです。

image

逆に、これは膝が伸びきってしまい、臀部が高く上がりすぎてしまっています。

image

呼吸

拳上の寸前に大きく息を吸い込んで息をこらえます(バルサルバ法)。拳上しきるまで息は止めておきましょう。ボトムポジションに戻ったら再度呼吸します。

バーの軌道

足の中間部と、その垂直線上であるみぞおちの間を行き来させます。

無駄なモーメントが発生しないように、バーベルが地面と垂直な軌道を描くと理想的です。

トップポジション

上記のようにみぞおちの辺りにバーを引き上げます。

肘は両肩のラインより後方までしっかり引き上げてください。image

体幹は自然と水平より少しだけ起きた体勢になると思います。

下ろす動作

バーバルロウを「効かせる」ために重要となるのがバーを下ろす動作です。

この種目はバーを重力に任せてストンと下ろすとほとんど効いている感じがしないと思います。バーが重くなるほどゆっくり下ろすのは難しくなりますが、一瞬でも長くバーを引き上げた状態を保つように努めてみてください。

レップ間

バーはいったん床に置きます。

床でバウンドさせないように一瞬バーを静置し、体勢を固め直してから再度引き上げる動作を行います。

上級者は筋緊張時間の増加を狙って、レップ間もバーを浮かせたままにしておく方法もお勧めです。

身体をあおってバーを上げない

以下画像のように体を起こす反動を使ったチーティングはNGです。

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このように体幹が起きてしまい、反動を使うような場合は重量を下げましょう。(もし体幹を起こすような力をつけたいのであればデッドリフトを行うべきですし、パワーをつけたいのであればクリーンを行うべきです)

連続写真

真横から。

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別の角度から。

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前方から。

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バーベルを使う前の基礎練習

ベンチに寝た姿勢で練習するのがお勧めです。

ベンチプレスの要領で肘を大きく後方へ引きます。

Bench-press-form-7

体格によって多少の差はありますが、この時のバーを下す位置が、バーベルロウでバーを引き上げる位置だと思ってください。

フィニッシュポジションでのバーの位置や腕の位置がわかったら、今度はバーなしで肘を後方へ大きく引いて、背中の筋肉の収縮を感じる練習もしましょう。この動作は普段から何気なくやっておくと他の背筋のトレーニングにも活用できるので非常に効果的です。

背筋を使う感覚を覚えたらあとは実際の動作を繰り返すのみです。

動作は速く?ゆっくり?

バーベルロウはある程度勢いが大切な種目です。ゆっくりした動作では刺激が入りにくいと感じると思います。

引き上げる動作は少しスピードをつけてやった方が筋肉に良く刺激がいくと思います。一方、バーを下ろす動作はなるべくゆっくりしてあげると良いです。

この動画のバーベルロウのフォームはすごくきれいですのでぜひ参考にしてください。

まとめ

バーベルロウは玄人好みの種目ですが、うまく効かせることができるようになると病みつきになること間違いなしの優秀な種目です。

トップポジションで前腕が垂直になるようなグリップ幅を決めること、スタートポジションから垂直にバーを上げ下げすること、体幹を水平に保つこと、肘を十分引き上げることがとくに重要なポイントです。これらを守ると軽い重量でも刺激が得られるようになってくると思います。

今まで敬遠して諦めていた人も今回の記事を参考にしてぜひ一生懸命取り組んでみてください。

参考

https://stronglifts.com/barbell-row/

https://www.youtube.com/watch?v=G8l_8chR5BE

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コメント

  1. 坂本 浩 より:

    とても詳しい解説で感心しました。
    でもバーベルロウで背中を水平近くにすると、私は背中の一番下の筋肉
    (脊柱起立筋の下部というのでしょうか)が辛くなります。
    重量を下げてでも水平近くにしたほうがいいのでしょうか。
    もしよろしければご教示いただけるととても助かります。

    • Yasu より:

      コメントありがとうございます。
      バーベルロウで先に腰が辛くなってくる場合は、フォームの確認(重心が前に出過ぎていないか、反動をつけていないかなど)や、デッドリフトが多すぎたり少なすぎたりしないかということ(レベルにもよりますが週に1〜2回、3〜5セットくらいが適量かと)などを確認してみてください。どうしても難しければダンベルロウに代えてみても悪くないと思います。
      あと、バーベルを引き切ったポジションで一瞬止まるような意識を持つと効きやすいと思います。
      ドリアンイェーツのように体を起こすやり方が合う人もいるので、よく効くようなら少し体を起こしてみてください。