デッドリフトのスタンス(足の幅や向き)を決める要素はいくつかあります。今回はナロウスタンス(コンベンショナルデッドリフト)でのスタンスを決める方法を詳しくみていこうと思います。
参考動画
基本
足幅は垂直跳びをする時と同じくらいの幅(大体20~30㎝離す)に開きます。
臀筋や内転筋を使いやすいようにつま先を少し(10~20度ほど)外に向けます。
スタンスを決める要素
肘
デッドリフトでは、肘が肩の真下に位置することが重要です。これにより、グリップが地面に近くなり、床からの引き上げやロックアウトで有利になります。
ただし、実際には肩と肘を全く地面と垂直にするには2つ問題があります。
1つは肩幅が狭い場合です。肩幅が狭いほど肘と膝が干渉しやすくなります。
もう1つは広背筋の収縮です。デッドリフトでは広背筋を収縮させて、バーを体の方へ引き付けておくことが大切です。そのためには脇をしめて肘を絞り、腕を体の側に沿わせることが必要です。肘を引き付けるほどグリップの幅は狭くなりますが、あるところで膝と干渉するようになってしまいます。
肘を内側へ絞っていくと、膝と干渉する。
足の向き(膝の向き)
もう1つのスタンスを規定する要素は足の向き(膝の向き)です。足を外側へ向けるに伴い、膝も外側へ向きます。膝が外側へ向くほど肘と干渉しやすくなります。
足幅が狭い場合はある程度膝を外へ向ける余裕がありますが、足幅を標準~広めにとる場合は、比較的前方へ向けることが必要になってきます。
標準的な足幅の場合、膝と肘との干渉を防ぐため、ある程度足は前方を向く必要がある。
体格
大きな体格のリフターの場合は、その大きな体幹部のため、グリップも足の幅も必然的に広くなります。
各タイプ別の例
狭い足幅+前向きの足
股関節はかなり内転し、膝はほぼまっすぐ前方を向いています。グリップ幅も狭く、バーベルのローレット(溝)が始まったあたりを握っています。
狭い足幅+外向きの膝
やや極端ですが、足をかなり外側へ向けています。足幅が狭いため膝をある程度外側へ向ける余裕が生まれています。
標準的なスタンス
だいたい足幅が肩幅より少しだけ狭いくらいの標準的なスタンスです。ナロウスタンスの例に比べると、前腕と下腿が接触するくらい近くなっています。
ワイドスタンス
足幅が肩幅よりさらに広いスタンスです。膝は内側を向き、グリップ幅もかなり広くなるため、力学的には効率的なフォームとは言えません。(しかし、Brian Shawはこのフォームで985lb(約446㎏)を引き上げます!)
スタンスの決め方
まずはスナッチグリップデッドリフトをしてみます。
スナッチグリップデッドリフトでは、肘と膝が干渉することがありません。そのため、スタンスだけに集中することができます。ここで自分にとって最適なスタンスを決めます。
続いて、スタンスのことはいったん無視して、自分にとって最適なグリップの位置を決めます(基本は上記のように肩と肘がまっすぐ地面に向かう位置)。
最適なスタンスと最適なグリップが決まったら、あとはその2つがなるべく両立するように調整します。多くの場合、最適なグリップ(肩と肘との並び)と膝の向きを維持できる範囲内でなるべく広いスタンスをとるのが良いと思われます(が、ここはかなり個人差が大きい部分もあります)。
デッドリフトのスタンスの決め方のまとめ
他の要素を気にすることなく、理想的なスタンスを決めるため、スナッチグリップデッドリフトを行う
多くの場合、ローレットの始まる辺りを握るのが理想的なグリップとなる。スタンスの幅を再調整する。
典型的には、肘の位置と膝の位置を損なわない範囲で、なるべく広いスタンスとなる。(ここはかなり個人差が大きい)
考察
足の位置と手の幅をそれぞれ別に決めてから調整するというのは面白い方法だと思いました。
調整の際には基本的にはグリップの位置を優先するのが効率的な挙上につながりますが、足を前方へ向けても窮屈に感じる場合は、グリップを少し広くすると良いと思います。
実際にスタンスを決める上では、腕、足、胴体の長さや肩幅、お腹の大きさなどの体格に加えて、背中や脚の強さも影響します。窮屈でない範囲で狭いグリップ幅と広い足幅をとるという基本を踏まえつつ、体格に合わせて微調整していくと良いと思います。
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