ファスティング(絶食)で筋肉は減らない

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ファスティング(絶食)について考える際、大多数の人は、「筋肉が減るんじゃないか」という疑問を持ちます。

しかし、先に結論を述べますが、ファスティング(絶食)では筋肉は減りません。

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絶食期間と代謝

上のグラフは、絶食日数とエネルギー源の関係をみたものです。

絶食を開始した時点(Day0)から体に貯蔵したグリコーゲンを利用した炭水化物代謝は低下していきます。それに伴って脂質とその代謝産物であるケトン体の代謝が占める割合が増していきます。約12時間で脂質代謝が優位になりはじめ、2日間ほどの絶食によりほぼグリコーゲンが底をつき、ケトーシスになります。

一方、タンパク質の代謝はどうでしょうか?タンパク質から得るエネルギーは増えるどころか、むしろ減っています。絶食時には、体は何とか筋肉を減らさないようにするのです。

他にも、絶食中の尿中窒素排泄量やロイシン流出(=タンパク質分解の指標)の低下からも絶食中に身体のタンパク質が保存されることが示唆されています。

タンパク質は、身体にとって重要な機能をはたす筋肉や結合組織を構成する要素です。体脂肪はエネルギーが足りないときに貯蔵してあるエネルギー源です。

エネルギー不足時に体脂肪をエネルギー源とするのが理にかなっているのは明白です。

絶食中のエネルギー

絶食中にグルコースはどこから産生されるのでしょうか?

最初は筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンが分解されます。しかし、体内のグリコーゲン貯蔵量はせいぜい2000kcal分ほどしかありません。

そこで使用されるのがトリグリセリド(いわゆる体脂肪)です。

トリグリセリドはグリセロールに3つの脂肪酸が結合した物質です。

トリグリセリドがグリセロールと3つの脂肪酸に分解されることで、エネルギー源として利用可能となります。

脂肪酸は体内の大部分の組織で直接エネルギー源として使用可能です。

また、グリセロールは肝臓で糖(グルコース)に変換されます(糖新生)。

このように、代謝内分泌系が正常であれば、体脂肪(トリグリセリド)から糖(グルコース)を作ることができるため、ヒトは絶食中でも血糖値を一定に保つことができるのです。

実際の絶食時の体組成の変化

Altarnate Day Fasting(ADF)という、1日ごとに絶食と通常食を繰り返す方式のインターミッテントファスティングを行った例をみてみます(ADFは現在最もエビデンスが豊富なファスティングの方式です)。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20300080

70日間のADFの結果、除脂肪体重は52.0kgから51.9kgで、有意な変化はありませんでした。一方で、体脂肪は有意な減少を認めました。

これはつまり筋肉などは減らずに脂肪が減ったということです。

少なくとも24時間程度の短期の絶食では筋肉は減らず、体脂肪だけが減るということは科学的事実です。

成長ホルモンが増えることで筋量が維持される

成長ホルモンは筋力トレーニングなどの運動後や睡眠時に分泌量が増しますが、絶食中にも分泌量が増えます。

絶食中の筋肉量維持に成長ホルモンが重要な働きをしていることを示す興味深い報告があります。これは、絶食中の被験者に、成長ホルモン分泌を抑制する薬剤を投与するという実験です。

成長ホルモン分泌が抑制された被験者は、絶食に伴い、50%の有意な差をもって筋肉量の低下を認めました。

この結果からみても成長ホルモンが絶食中の筋量維持に非常に重要な役割を果たしていると思われます。

インスリンが減る

インスリンは体組成を決定する重要なホルモンのひとつです。

インスリンが増えれば増えるほど体重は増えます。しかも具合が悪いことに、増えやすくなるのは体脂肪です。

現代の社会生活では、常に何かを食べている状態が続くため、インスリンが十分に低くなる時間が少なくなっています。インスリンが高い状態が持続すると、インスリン抵抗性といって、インスリンが効きにくくなります。そのためさらなるインスリン値の増加を招きます。このサイクルは最後は破綻して糖尿病になります。

12時間以上の絶食により、血中のインスリン値は50%以下まで低下します。

絶食により、インスリンを低く保つことで、成長ホルモンの働きが阻害されにくくなることも筋肉などを維持することに役立ちます。

まとめ

3〜5日程度までの短期間の絶食であれば、筋肉をはじめとした除脂肪体重は減らない。

体脂肪はエネルギーが摂取できない時に貯蔵されたエネルギー源であり、身体は絶食中には体脂肪を利用してエネルギーを産生するようになっている。

実際の絶食を行った被験者のデータからも絶食時に除脂肪体重が減らないことが示されている。

絶食時の筋量の維持には成長ホルモンが重要な役割を果たしている。

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