筋肥大の3つのメカニズムを理解したトレーニングテクニック

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3つの主要な筋肥大のメカニズム

ウエイトトレーニングに対する筋肉の肥大を起こすには、

  1. 機械的張力(mechanical tension)
  2. 筋肉の損傷(muscle damage)
  3. 代謝ストレス(metabolic stress)

の3つの要因が関与しています。 

機械的張力

機械的緊張は、主要な肥大要因のひとつです。

機械的張力のみがサルコメアといった筋肉の収縮に関わる筋線維の増大を生じ得るとされます(筋線維性肥大)。これによって筋力が増し、扱える重量が増すこととなるため、筋肉の成長を開始させる上で重大です。

機械的張力は、筋線維および衛星細胞における反応を引き起こし、直接mTOR(エムトア:機械的ラパマイシン標的タンパク質。タンパク質合成の開始シグナルを出す部分)を刺激することができます。

筋力と神経適応

機械的張力は、骨格筋の強度とサイズを増加させる重要な刺激ですが、筋力の向上には神経適応が多大な役割を担っています。

筋力の向上は、筋肥大と神経適応の組み合わせによるものです。この神経適応は、トレーニングに使用される運動や負荷に大きく依存します。

筋肉の大きさの変化は、筋力の変化よりも小さく遅いことが知られています。高い強度を使用するトレーニングプロトコールでは、結果として筋肥大をあまり伴わずに神経適応を誘導することが示されています。

また、筋肥大の程度が同等であっても、高強度トレーニングの方が筋量が大幅に向上することも示されています。

機械的張力を意識したトレーニング戦略

強度

強度(intensity)は、肥大に重大な影響を及ぼします。強度は通常、1回しか反復できな負荷(1RM)に対するパーセンテージで表されます(%RM)。

反復回数の範囲は、一般的に低い(1~5回)、中程度(6~12回)、高い(15回以上)の3つの基本的な範囲に分類することができます。

筋肥大反応は広い強度範囲で誘発されますが、一般に中程度の範囲(6~12回)が肥大反応を最適化するといわれています。

これらの範囲ではそれぞれ異なるエネルギーシステムが主に利用されています。例えば、 ホスホクレアチン系は低反復回数(すなわち高強度)に使用され、嫌気性解糖は中程度の反復回数で使用されます。

機械的張力を最大化するためには、なるべく高い強度を用いることが推奨されます。きれいなフォームで1~5回反復できる程度の重量が最も適しています

セット間のインターバル

インターバルの長さは、短い(30秒以下)、中程度(60~90秒)、長い(3分以上)の3つのカテゴリに分類することができます。

短いインターバルは、筋力を回復するのに十分な時間を許さないため、その後のセットで筋肉の能力は不十分なままとなります。逆に、長いインターバルは、セット間の完全な回復をもたらし、後続セットで完全なパフォーマンスを発揮できます。

機械的張力は、2~3分程(もしくはそれ以上)の長いインターバルをとることで最適化されます

動作速度

より速い筋収縮が、より有益であるということが示唆されています。

非常に遅い速度でのトレーニング(スロートレーニング)は、筋力および筋肥大のためには最適ではないことが示されています。

機械的張力を高めつつ追い込むテクニック

※追い込むためのテクニックなので、これらは最後の1セットのみで用いるようにします。

レストポーズ法

4~6回程度挙上できる重量を選択します。

4~6回最大限まで動作を反復します。15秒ほどの短い休息を挟んでさらに2~3回動作を反復します。そこからさらに15秒ほどの短い休息を挟んでさらに1~2回動作を反復します。

ドロップセットのように重量は落とさずに一定に保ちます。

クラスタートレーニング

2~4回程度挙上できる重量を選択します。

1回動作を反復します。そして15~20秒ほど休んでさらに1回動作を反復します。

フォームを保って動作を反復できる限り、この1回動作と15~20秒休憩を繰り返します。

『強度を保ちつつ反復回数を増やすこと』がクラスタートレーニングの目的なので、挙上動作はできる限り爆発的に行うことと、本来反復できる回数よりも多くの回数を反復することがポイントです。

クラスタートレーニングは、デッドリフトやバーベルロウ(ペンドレイロウ)とは最高に相性が良いので試してみてください。

機械的張力のまとめ

機械的張力によって、筋力の向上が得られる。また、筋肥大にも役立つ。

より重い重量を扱うことによって最適化される。

1~5回ほど反復できる重量を使用し、十分に長いセット間インターバルを取り、1~2秒ほどのなるべく速い動作でウエイトを挙上することが有効。

筋肉の損傷

肥大(Hypertophy)と過形成(Hyperplasia)

筋肥大とは、筋肉の体積が増すことです。

一方、過形成とは、細胞増殖が起こることによって、組織の体積が増加することです。筋肉においては、筋線維の数が増えることで筋肉の体積が増すことです。

筋肥大には、過形成を伴う肥大と、伴わない肥大があります。過形成を伴わない肥大というのは、いわゆる『パンプ』のことで、細胞に水分などが集まって膨張した状態です。

筋肉にダメージが与えられた場合、筋線維の数が増加する可能性があります。

筋肉を伸ばしながら力を発揮する動作(伸張性収縮)が、筋肉に最も大きなダメージを与えます。

ストレッチ誘発性過負荷

ストレッチ誘発性過負荷は、間欠的もしくは漸進的に負荷をかけつつ筋肉を伸ばすときに発生します。

ストレッチ誘発性過負荷により、筋肉は引き伸ばされて、より多くのサルコメアを生成します。 

同じ負荷で間欠的に筋肉を伸ばすことによって、筋線維の過形成を伴わない筋肉の質量の増加を生じます。質量増加の一部は、筋肉の長さの増加によるものです。

一方、負荷を徐々に増やしつつ筋肉を伸ばすと、筋線維の過形成を伴う筋肥大が得られることが示されています。ある報告によると、断面積を 142%に増加させ、筋肉の長さを150%に増加させたとされています。

筋肉の損傷を意識したトレーニング戦略

エキセントリック収縮とコンセントリック収縮

筋収縮には、

  1. アイソメトリック収縮(isometric contraction):筋肉の長さが変わらない(ウエイトの位置が一定の)筋収縮
  2. エキセントリック収縮(eccentric contraction):筋肉を伸ばしながら(ウエイトを下ろしながら行う)筋収縮
  3. コンセントリック収縮(concentric contraction):筋肉を縮めながら(ウエイトを上げながら行う)筋収縮

の3つのタイプがあります。

このうち、筋肉の損傷を最も引き出すのはエキセントリック収縮です。

エキセントリック収縮はコンセントリック収縮の約20〜50%(最大64%大きくなることが予測されている)も強い力を発生させることができるため、ウエイトトレーニングにおいては重要な動作の局面となります。

筋肉の損傷を高めるためにはこのエキセントリック収縮を強調することがポイントです。

これらの方法は、オーバートレーニングや強い筋肉痛のリスクがあるため、注意しながら導入するようにしてください。

超高重量を使う

通常の1RMよりも大きな重量を使用し、エキセントリック収縮のみを行う方法です。

通常は独力では行えないため、補助者が必要になります。

エキセントリック収縮で負荷を増やす

補助者に、エキセントリック収縮の局面で、追加の負荷をかけてもらう方法です。

このテクニックでは1RMを超える負荷を使用することは必須ではありません。

強制的にエキセントリック収縮のみを続ける

通常通り動作を反復していき、ウエイトが挙上できなくなったところで、補助者に補助してもらいます。挙上動作のみを補助者に手伝ってもらうことで、さらに動作を反復し続けることができるというテクニックです。

エキセントリック収縮を強調する

エキセントリック収縮を通常よりもゆっくりとした動作で3~5秒かけて行う方法です。

コンセントリック収縮は通常のスピードで行って構いません。

この方法は補助者が不要というのが特長です。反復できる回数や扱える重量は減るため、安全性は比較的高いといえます。

筋肉が引き伸ばされた状態で維持する

筋肉を最も伸ばされた位置で耐える、という方法です。

通常通りセットを行った後に、可能な限り長時間(少なくとも30秒間)筋肉がストレッチされた姿勢を維持します。

ルーマニアンデッドリフトやダンベルフライなど、筋肉が伸びた状態で最も負荷がかかる種目に適しています。

筋肉の損傷のまとめ

筋肉を伸ばすときに負荷をかけることで、筋肉の損傷が発生する。

エキセントリック収縮をうまく利用することで、強度やボリュームを増やすことにつながり、筋肉の損傷を高めることができる。また、これは代謝ストレスを高めることにもつながりやすく、筋肥大効果を高めることができる。

ただし、オーバートレーニングになりやすいため、注意して用いることが大切。

代謝ストレス

代謝ストレスの要素

代謝ストレスは、嫌気性解糖系からの代謝産物の蓄積によって引き起こされます。

乳酸

解糖系によって、グルコースはピルビン酸に代謝されます。

激しい運動においては、ピルビン酸を利用して、乳酸が生成されます。酸素供給が追い付かないような状況では、このようにして乳酸が蓄積します。

一部の乳酸は血液中に放出され、肝臓でピルビン酸に代謝され、コリ回路を経てグルコースに再合成されます。このグルコースは、再度骨格筋でのエネルギー源として利用されたり、グリコーゲンとして貯蔵されたりします。

アシドーシス

アシドーシスとは、体液のpHが酸性に傾くことです。

アシドーシスは、細胞内のプロトン(水素イオン)のような乳酸以外の反応によって引き起こされるとされます。プロトンはミトコンドリアにおける好気性代謝以外のATP産生経路によって産生されます。

より酸性に近い環境になると、交感神経活動が刺激され筋肥大反応が高められる可能性があります。

細胞の膨張

適度な反復回数のセットは、『パンプ』と呼ばれるように筋肉の張りをもたらします。

動脈から送り込まれた血液が、圧の上昇などのために静脈から還流できず、筋肉内での血管内圧の上昇が起こります。また、代謝ストレスによって、血管の透過性が亢進することも細胞内への水分の流入を助長します。

この細胞の膨張が刺激となり、タンパク質分解が阻害され、タンパク質同化が増強されます。

虚血

虚血(きょけつ)とは組織への血液供給の低下のことです。

血流が低下すると、血液によって供給されている酸素やグルコースなどが不足します。

このように虚血によって、嫌気性解糖の活性化、同化ホルモンの上昇、細胞の腫脹、フリーラジカル産生などが引き起こされ、筋肥大が引き起こされます。

低酸素症

低酸素症とは、組織への酸素供給が低下した状態です。

低酸素症は虚血や高地トレーニングなどで誘発されます。

低酸素環境下でのレジスタンストレーニングは、骨格筋量や、筋持久力や血管新生を増加させることが示されています。

低酸素症は、乳酸を蓄積させたり、細胞の腫脹を引き起こし、タンパク質合成を促進することが分かっています。

代謝ストレスを意識したトレーニング戦略

強度

代謝ストレスを高めるためには、ある程度以上の反復回数が必要です。

代謝産物の蓄積には、嫌気性代謝が重要になってくるため、低回数ではあまり意味がありません。そのため、一般的には6回以上、6~12回程度反復できる重量を用いることが推奨されます

また、実際には筋肥大はかなり広い強度で起こるとされており、15~30RM程度の低強度でも、限界まで動作を反復すれば、高負荷と同等の筋肥大が得られることがわかっています。異なるタイプの筋肥大のプロセスが誘導されるため、時折(全体の15~20%程度の頻度)で、高回数トレーニングを組み込みましょう。

セット間のインターバル

代謝ストレスを高めるためには、1分前後のやや短めのインターバルが最適です。

3分以上などの長いインターバルでは、休憩中に代謝環境がかなり整えられてしまうため、代謝ストレスを高めるのには不向きです。

短い(30秒ほど)インターバルは、代謝産物の蓄積を高め、代謝ストレスを高める可能性がありますが、機械的緊張を低下させてしまうというデメリットを伴います。

約1分ほどの中程度のインターバルは、筋肥大を最大限にするために、長い休憩期間と短い休憩期間との間で満足のいく妥協案と言われています。

動作速度

あまり極端なことをせずに自然な速度が適しています。約1~2秒かけてウエイトを挙上し、約1~3秒かけてウエイトを下ろします。

ポイントとしては、休まずに動き続けるということです。ウエイトを上げ切ったとき(スタートポジション)と、下げ切ったとき(ボトムポジション)は、一瞬負荷を骨で支えてしまいやすい(負荷が逃げやすい)ところです。プロのボディービルダーの多くは、このポイントを避けて、わずかに動作範囲を制限していることが多いので真似してみてください。

代謝ストレスを高めつつ追い込むテクニック

 

ドロップセット

ドロップセットは、ある負荷で反復不能になったところで、すぐに重量を30%ほど減らし、セットを続けるという方法です。

これにより筋肉全体の疲労が大きくなり代謝ストレスがまします。

また、ドロップセットは、タイムアンダーテンションの増加、より多くの代謝産物生成および虚血もたらします。

スーパーセット

スーパーセットは2つ以上のエクササイズをインターバルなしで行う方法です。

スーパーセットは、同じ筋群をターゲットにした種目を組み合わせる場合と、対になる筋群をターゲットにした種目を組み合わせる場合があります。

インターバルを取らずに動作を続けるため、筋肉の疲労や代謝ストレスを増す効果があります。

血流制限(加圧トレーニング)

動脈の流れはあまり妨げずに静脈の流れを妨げる程度の圧をかけることにより、虚血や低酸素を誘発する方法です。血流は完全には制限されるべきではなく、約50〜70%に制限するようにします。

短いインターバルで軽めの負荷を用いて行うことが推奨されます。

代謝ストレスのまとめ

種々の代謝産物により筋肥大が誘導される。

虚血、低酸素、細胞の膨張、アシドーシスなど多様なメカニズムが関与している。

中程度(6~12RM)の負荷で、中程度のインターバル(約1分)で行うことで最適化される。

全体のまとめ

筋肉が肥大するためには、機械的張力、筋肉の損傷、代謝ストレスの3つの要因があります。

これらは相互に関わっており、バランスよく利用することが最適です。

例えば、ワークアウト毎に変えたり、セットの前半は機械的緊張を意識して、後半は代謝ストレスや筋肉の損傷を協調するなどの方法が考えられます。

意図をもって、負荷やインターバルや動作速度などの調整を行うことで3つのメカニズムを満遍なく取り入れましょう。

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