代謝ストレスは筋肥大のために必要か?

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以前は、筋肥大は、重い負荷(15RM以上)を使用することによってのみ達成され得ると考えられていました。

しかし、最近では、オールアウト近くまで動作を反復した場合、軽い負荷でも、重い負荷と同様の筋肥大効果を生み出すことがわかりました。

ただし、軽い負荷の場合は、ある程度限界近くまで動作を反復しない限り筋肥大を引き起こさないことも分かったため、疲労が筋肉の成長のひとつの鍵であることが推測されます。

そこで、「代謝産物の蓄積によって、筋肥大の鍵となる疲労が起こる」、「代謝産物の蓄積は、筋繊維に「代謝ストレス」を与え、同化のシグナル伝達を促進する」という仮説が作られました。

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筋力トレーニングと疲労

筋力トレーニングでは、筋肉を繰り返し収縮させます。

筋肉が繰り返し収縮することで疲労が起こります。

疲労とは、筋肉が自発的に力を生み出す能力が一時的に低下することです。

疲労は、中枢神経疲労(CNS fatigue)と、筋肉自体の収縮力の低下である末梢性疲労(peripheral fatigue)に分けられます。

自発的な力の減少は、中枢神経系から送られる信号の減弱(中枢性疲労)や、筋肉が力を生み出す能力の減少(末梢性疲労)のために起こります。

中枢神経疲労は、脳または脊髄から送信されるシグナルの減弱、または運動ニューロンの興奮性を低下させる求心性フィードバックの増加のいずれかによって起こります。

末梢性疲労は、(Caイオンに対するアクチン – ミオシンフィラメントの感受性の低下、または筋小胞体からのCaイオンの放出の低下のいずれかによって起こる)個々の筋繊維の活性化の低下や、アクチン – ミオシン架橋の機能障害によって起こります。

疲労と代謝ストレス

過去には、末梢性疲労は、嫌気性代謝によって発生する乳酸やアシドーシスによって引き起こされると考えられていましたが、現在はこれは否定的とされています。

現在は、Caイオン放出を阻害するような細胞外Kイオンや、アクチン – ミオシンフィラメントの感受性低下などが原因と言われています。

つまり、代謝ストレスと疲労とは直接的には関係ないということです。

筋肥大のトリガーは高閾値モーターユニットの動員

筋肥大の最も重要なトリガーは、高閾値モーターユニットに支配される筋繊維をいかに活性化するかです。

代謝産物の蓄積は、動員されるモーターユニットの増加の必要条件ではないことが示されています(;長時間インターバルでエキセントリック収縮をさせた場合、代謝産物の蓄積と関連なく、動員されるモーターユニット増加を示した)。

高閾値のモーターユニットの動員は、疲労によって動作が反復できなくなる最終5レップでは低負荷でも高負荷でも同様です。

つまり、5RMでも30RMでも最終5レップはほぼ同様の力を発揮しているというわけです。

典型的なボディービルトレーニングと代謝ストレス

典型的なボディービルトレーニングとは、中程度の負荷(6〜12RM)を用いて、短い休息時間で多数の動作を反復するようなトレーニングです。

このようなトレーニング法を用いることで、過去のボディービルダーは代謝ストレスを高め、全身のホルモン放出を増やして、筋肥大を最大化させることを狙っていました。

しかし、現在では、インターバルは短めよりも長めの方が、中枢神経疲労を抑制できて、高閾値モーターユニットを動員させやすいため、筋肥大効果は高くなります()。

また、中程度の負荷を用いるのも、刺激レップ(高閾値モーターユニットが動員されるオールアウト前の約5レップ)を少ないセットで効率よく稼ぐためとされています。実際に競技としてボディービルをしている選手の多くは7〜9RMといった一般的なイメージよりはやや重い負荷を用いています()。

また、全身のホルモン放出と筋肥大との関連にはまだ諸説ありますが、全く筋肥大には影響がないというもあります。

まとめ

代謝ストレスは、筋肥大の一助となりうるが、必須の条件ではない。

代謝ストレスよりも重要なのは、各セットで限界近くまで動作を反復すること。

動作の反復によって、末梢性疲労が溜まり、収縮速度や収縮力が低下する。

収縮力が低下すると、低閾値モーターユニットが支配する筋繊維だけでは負荷に対抗できなくなるため、高閾値モーターユニットに支配される筋繊維が動員される。高閾値モーターユニットに支配される筋繊維は筋肥大のポテンシャルが大きいため、これらに機械的負荷をかけることで筋肥大が起こる。

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