プログレッシブオーバーロードの本質を理解する

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プログレッシブオーバーロード(漸進性過負荷)とは

プログレッシブオーバーロードとは、ワークアウトを重ねる度に少しずつ負荷を増やしていくということです。

ワークアウトのストレスによって、我々の体ではストレスに対する適応が起こります。

それは、筋原繊維の増加、腱や靭帯などの結合組織の強化、より高閾値の運動単位を動員する能力の向上などなどです。

これらによって筋力の向上がもたらされます。

筋力が向上すると、前回のワークアウトに使用したのと同じ重量をより多く挙上できたり、より重い重量を挙上できるようになります。

このストレスとそれに対する適応を繰り返しながら筋力を高めていくのが筋力トレーニングです。

プログレッシブオーバーロードの意義

ワークアウトのストレスを維持できる

プログレッシブオーバーロードの意義の1つはワークアウトのストレスを一定に維持することです。

もし筋力の向上に合わせて負荷を増やさなかったらどうなるでしょうか?

例えば、筋力が90から100に増えたとして、負荷を90のまま増やさずにいたら、1回目は100%の労力が必要であったのに、2回目は90%の労力で済むことになってしまいます。

つまり10%分の運動単位が動員されずに済むことになります。これでは動員されなかった筋繊維には機械的負荷という筋肥大の刺激がかからないことになってしまいます。

向上していく筋力に合わせて負荷を増やしていくことは、筋肉への負荷を一定に維持するという意味があるのです。

トレーニングプログラムがきちんと機能しているか判断できる

実はプログレッシブオーバーロードは、筋力トレーニングプログラムが実際に機能しているかどうかを判断するための唯一の方法です。

ワークアウトの後には主に3つの要因によって筋力が一時的に低下します。

それは末梢性疲労、中枢性疲労、筋肉損傷です。

末梢性疲労は基本的に運動後の短時間で回復するため、適応という視点からは問題になりません。

問題は中枢性疲労です。中枢性疲労とは即ち高閾値モーターユニットの動員する能力の低下です。つまり中枢性疲労があると、筋肥大のポテンシャルの高い高閾値モーターユニットに支配される筋繊維が動員されず、刺激できないということになります。

中枢性疲労は基本的短時間しか持続しないのですが、注意すべき点として、筋肉損傷によって中枢性疲労がもたらされる可能性があります。

中枢性疲労は神経系(CNS)の疲労が数日間のトレーニング後に発生する可能性があり、後のトレーニングから適応を得ることを妨げるためです。したがって、注意を怠ると、有益な効果がまったくないハードなトレーニングを簡単に行うことができます。ただし、進行性の過負荷を達成している場合は、適応が行われている必要があることがわかります。

慣れた刺激であれば、中枢性疲労と酸化ストレスなどの筋肉損傷は約48時間で完全に回復すると言われています。

そのため、前回のワークアウトから48時間以上の時間が空いていれば、次のワークアウトでは、総反復回数の1レップ以上の増加か、挙上重量の向上といったパフォーマンスの向上がみられるはずです。

パフォーマンスの向上が見られている限り、そのプログラムはきちんと機能していると判断できます。

もしパフォーマンスの向上が見られなかった場合は、

1. 日常生活でのストレス過多や食事摂取不十分などによる回復能力の低下

2. ワークアウトのストレスの増加に伴う必要回復時間の延長

3. 前回のワークアウトがパフォーマンス向上をもたらす刺激として不十分であった

のいずれかの原因で停滞していると判断することができます。

原因を知ることでこのような停滞した状態に対する対策を講じることが可能になります。

プログレッシブオーバーロードの確認のための条件

トレーニングの変数をきちんとコントロールしておかないと、実際には適応が起こっていないのに適応が起こっていると誤認してしまうことになります。

動作範囲(ROM:Range of Motion)

一般に動作範囲を狭くするほど動作は用意になります。

動作範囲に変化があると、筋力の向上なしに挙上回数の増加や使用重量の向上が得られてしまいます。

すべてのレップを一定の動作範囲で実施することが必要です。

動作速度(テンポ)

動作速度が遅くなるほど反復回数は減り、挙上重量は減ります。動作速度を速くするとその逆のことが起こります。

動作速度は一定に保つことが必要です。

セット間インターバル

インターバルを短くすると反復回数は減り、挙上重量は減ります。

インターバルは反復回数が減らない程度に十分確保することが必要です。また、とくに2分未満の短いインターバルを採用する場合はきちんと時間を測る必要があります。

トレーニング頻度

トレーニング頻度が減ると、回復時間が長くなるために反復回数が増え、挙上重量が上がります。

トレーニング頻度は一部位あたり週3回未満とし、なるべく一定に保つ必要があります。

セット数

セット数を増やすと、回復に要する時間が増えるため、頻度が変わらないままでは次のワークアウトでパフォーマンスが低下したように見えることがあります。

セット数は極力一定に保つ必要があります。

種目順

ワークアウトの最初に近い種目ほど疲労がなくフレッシュな状態で行えます。

種目順を変えると、前にもってきた種目はパフォーマンスが向上したように見え、後に回した種目はパフォーマンスが低下したように見えます。

種目順は一定に保つ必要があります。

パフォーマンスが向上しなくなったときの対策

反復回数が増えず、挙上重量が増えない、すなわちプラトーに達したときにどう対応すれば良いかは重要な項目です。

多くのリフターは、安易に種目を変更してしまいますが、実際はまだ伸びしろが残っていることが少なくありません。

パフォーマンスが向上しなくなった原因は3つ考えられます。

1. ボリュームが足りず、適応を促すための刺激として不十分

2. 回復期間が足りない

3. その種目でもたらされる筋肥大は十分となったが、他の部分の筋肥大が足りなくなった

そこで、停滞した際には以下のフローチャートに従います(詳細は下図)。

筋肥大のために種目を変更すべきか?

プログレッシブオーバーロード(反復回数増加や挙上重量増加)を利用している?(→利用していないならば利用する)

パフォーマンスが向上している?(→向上しているならばプログラム続行)

向上しなければもう一度だけ同じワークアウトを試す(→それで向上すればプログラム続行)

やはり停滞するならば、1セットだけボリュームを増やすか頻度を少しだけ減らす(またはその両方を試す)(→それで向上するならば新たなボリュームと頻度でプログラム続行)

これでも停滞する場合は種目を変更する

種目を変更する場合は、元の種目と少しだけ異なる筋肉の長さや関節の角度において目的とする筋肉に最も強い負荷がかかる種目を選択するのが理想的です。

プログレッシブオーバーロードを維持するために調整すべき要素

筋肥大を目的とした場合、トレーニングによってもたらされる主要な結果は、各筋線維の中の筋原線維の数の増加であり、それによって引き起こされる筋肉のサイズの増加です。

また、筋原線維の数が増加することにより、筋肉が生成する力(筋力)が向上します。

うまく適応が起こると、その結果として

同じ重量における挙上可能回数が増加したり、挙上できる重量が増加したりします。

そこで、次のワークアウトではレップ数もしくは使用重量を増やすようにプログラミングすることで、停滞することなくパフォーマンスが向上していきます。

一方、反復回数や使用重量を増やさずに、単にセット数を増やすことは有効な方法ではありません。

例えば10回反復できるはずの重量で5回しか反復しなければいくらセット数を増やしても刺激レップは得られません。このように筋力向上を伴わないでもセット数だけを増やすことは可能です。

これでは現在のプログラムがきちんと機能しているか判断することができなくなります。

プログレッシブオーバーロードを達成するためには、重量か反復回数を増やすことが大切です。

まとめ

漸進性過負荷、すなわちプログレッシブオーバーロードは、ワークアウトによって引き起こされた筋肥大や筋力向上という適応に合わせて負荷を増やしていくこと。

プログレッシブオーバーロードにより、ワークアウトの刺激が減少することなく維持される。

プログレッシブオーバーロードには、それを達成できるかを見ることで、きちんと適応が起こってプログラムが順調に機能しているかを判断する材料になるという側面もある。

動作範囲や動作速度など、多くの要素が反復回数や挙上重量に影響を与える可能性があるため、それらの変数をなるべく一定に保つ努力が必要となる。

パフォーマンス向上が得られず停滞した場合には、刺激が不十分でないか、十分な回復時間が確保できているかを確認する必要がある。

プログレッシブオーバーロードにおいて調整すべき要素は反復回数と使用重量の2点である。

参考

https://www.patreon.com/posts/progressive-27915592

https://medium.com/@SandCResearch/why-is-progressive-overload-essential-for-hypertrophy-68757329a82d

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