漸進性過負荷の法則の実践的ガイドライン

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漸進性過負荷の法則はトレーニングで進歩を続ける上で欠かすことのできない絶対的な法則です。今回はこの漸進性過負荷の法則について、その理論や実践的な内容を詳しく解説していきたいと思います。

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漸進性過負荷の法則(Principle of Progressive Overload)とは

人体にはストレスに対する適応能力というものが備わっています。それは、いったん強いストレスを受けて恒常性が乱されると、元の状態へと回復するのみならず、一時的に同様のストレスに対して少しだけ抵抗力を備えた状態になるというものです。

筋力トレーニングの場合、トレーニングによって、少しずつ(漸進的に)ストレス(過負荷)を与えることで筋力が増したり、筋肥大が起きたり、筋持久力が向上するというものです。

ここで重要なのは、ワークアウトで身体に与えるストレスは強すぎても弱すぎてもいけないということです。ストレスが強すぎると、適応できずに疲弊(オーバートレーニング)してしまいますし、ストレスが弱すぎると適応が起こりません(参考)。疲弊させずに、適応が促される程度の、適切な負荷となるように、少しずつワークアウトのストレスを増していくことにより、持続的に成長していくことができるようになるのです。

負荷を少しずつ増していくために調整する要素

では、実際にどのような要素を調整してワークアウトの負荷を増やしていくことができるのでしょうか。

  1. 可動域:文字通り、動作の可動域を広げる。
  2. 効率:フォームのブレを減らし、無駄な労力を使わず動作する。
  3. ボリューム:反復回数(レップ)やセット数を増やす。
  4. 強度:扱う重量を増やす。
  5. 密度:セット間のインターバルを短縮する。
  6. 動作の強度:動作のスピードを上げる。
  7. 頻度:休養日を減らし、ワークアウト日の間隔を短くする。
  8. 相対的なボリュームや強度:体重を減らしつつ同じワークアウトをこなす。

一般に言われているのは以上のような項目です。

ここで注意すべきは、ボリュームや強度を増やしていくのは、可動域を最大に使った安定したフォームができてからにすべきということです。可動域や効率は必ず最初に可能な限り最大化させるべき要素です。そうしなければ無用な怪我を招いたり、無意識のうちに可動域が狭まって非効率的なトレーニングになってしまいます。一見回り道に思えますが、まずは正しいフォームを身に着けた方が結局は結果が早く出ます。

上の各項目のうち、計画的かつ継続的に増やしていけるのはボリュームと強度です。セット間のインターバルやワークアウトの間隔などは短縮するのに限界があります。基本的には「筋力トレーニングで負荷を増す」といえば、「ボリュームや強度を増やす」ということと同義です。

 実践的な負荷の増やし方

種目による適したレップレンジ

多くの人にとって、スクワットやベンチプレスなどのコンパウンド種目(多関節種目)は5~12レップの範囲が、アームカールやサイドレイズなどのアイソレーション種目(単関節種目)は8~15レップの範囲が適しています。

もちろんこれが絶対的なものではないので、自分に合ったレップレンジを採用すれば構いませんが、概して、コンパウンド種目で多めのレップレンジではフォームが乱れやすいですし、アイソレーション種目種目で少なめのレップレンジでは、なかなか負荷が増やせなくなりがちです。

目的に応じた基本的な方針

筋肉が大きくなれば、それに伴って筋力が向上するため、筋肥大と最大筋力向上は相反する要素ではありませんが、最適な負荷の増やし方は少し異なっています。

筋肥大が目的の場合

ボリューム(レップ数やセット数)を増やすことを優先します。

筋肉を大きくしたい、脂肪を減らしたいなど、「見た目」に関わる要素の改善を目的とする際には、8~15レップの範囲(中等度の強度)でボリュームを増やしていきます。

最大筋力向上が目的の場合

強度を増やしていきます。

少しでも重たい重量を扱えるようにするためには、3~6レップ以下の範囲(高強度)で強度にこだわって負荷を増やしていきます。ボリュームを増やす場合はセット数を増やしますが、ボリュームを増やすのはテクニック向上といった意味合いが大きいです。

レップレンジに応じた重量の増やし方のガイドライン

各セットの最高回数に応じて重量を増やす場合 その1

  • 6~10レップ×3~4セット
  • 8~12レップ×3~4セット
  • 8~15レップ×3~4セット

レップレンジを決めて、その中で重量を増やしていくという方法の中で、最も基本的なやり方のひとつです。

各セット同じ重量を使用します。1セット目で規定のレップレンジの上限回数以上反復できるようになったら、次回のワークアウトから重量を増やします(ちなみに、重量を増やす時は、最も増加幅が小さくなるように増やすのが基本です)。

重量を増やした直後は、終盤のセットでは規定のレップレンジに到達しないかもしれませんが、それでも構いません。

各セットの最高回数に応じて重量を増やす場合 その2

もし上記の方法で、3セット目などで規定のレップレンジに到達するのが困難な状況が続くようであれば、3セット目のみ約10%重量を減らします。

例 1セット目 120㎏ 11回

  2セット目 120㎏  8回

  3セット目 105㎏  11回

もし10%減量した状態で3セット目が規定のレップレンジに到達できるようになれば、3セット目の重量を1セット目と同じに戻します。

重量を少し落としてでも規定の反復回数をこなすことで、全体のボリュームが激減することを防ぐことができます。

各セットの最低回数に応じて重量を増やす場合

  • 3~6レップ×3~4セット
  • 6~8レップ×3~4セット
  • 8~10レップ×3~4セット
  • 10~12レップ×3セット
  • 12~15レップ×3セット

最低回数に応じて重量を増やすと、重量を増やせない期間を短くしやすい傾向になります。

大抵は最終セットが最も反復回数が少なくなります。

1セットや2セット目は多少余裕があっても規定のレップレンジ上限まででセットを止めます。最終セットで規定のレップレンジ下限回数まで反復できれば、次のワークアウトから重量を増やします。

5×5法

  • 5レップ×5セット

筋肥大および筋力向上のどちらもバランス良く高めたい場合に最適な方法です。

アイソレーション種目で用いるには強度が強すぎますが、コンパウンド種目との相性は最高です。

あまりに有名な5×5法ですが、様々なバリエーションがあります。5セットとも重量を一定にする方法、セットを重ねるごとに増やしていく方法、逆に減らしていく方法など様々です。

重量を一定にしたり、増やしていく場合は、最初の1~2セットはわりと余裕をもってセットを終えることになります。なるべくフレッシュな状態で各セットを迎えることができるため、フォームが乱れにくいというメリットがあります。逆に重量を減らしていくパターンは毎セット追い込む形になるため、より筋肥大に適したワークアウトとなります。

いずれのバリエーションでも、重量を増やすタイミングは一定です。最後の5セット目で5レップ達成できるようになったら、次のワークアウトから重量を増やします。

重量を減らしていく方法

  • 6~8レップ×3~4セット
  • 4~6レップ×3~4セット

この方法のメリットは反復回数を多く稼ぎやすいということです。どちらかというと筋肥大目的に適した方法です。

最初は6レップできる重量(4~6レップを採用するときは4レップできる重量)で1セット目を行います。2セット目は重量を5~10%減量してできるだけたくさん反復します。3セット目はさらに5~10%減量してできるだけたくさん反復します。(4セット目があれば同様に減量して可能な限り反復します)

しばらく同じ重量設定でワークアウトを重ねていき、1セット目で8レップ(4~6レップを採用するときは6レップ)できるようになれば、次のワークアウトから重量を増やします。

例 1セット目 100㎏ 8レップ

  2セット目 90㎏ 10レップ

  3セット目 80㎏ 11レップ

重量を増やしていく方法

  • 12~15レップ×3~4セット

最初は12レップできる重量で1セット目を行います。2セット目は重量を5~10%増量してできるだけたくさん反復します。3セット目はさらに5~10%増量してできるだけたくさん反復します。(4セット目があれば同様に増量して可能な限り反復します)

しばらく同じ重量設定でワークアウトを重ねていき、1セット目で15レップできるようになれば、次のワークアウトから重量を増やします。

例 1セット目 100㎏ 15レップ

  2セット目 110㎏ 11レップ

  3セット目 120㎏ 7レップ

周期的に強度と重量を変化させる方法

中級者以降では簡単に反復回数を増やせなくなってきます。そういった時にはさらに複雑なトレーニングプログラムが必要になります。

そこで、強度を周期的に変えるという方法がよく採用されます。

例えば4週間を1サイクルとする場合、1週目は70%、2週目は75%、3週目は80%、4週目は85%の強度でトレーニングを行います。そして4週目の最後にMAX測定を行い、その新たな最大値に応じて次の4週間の重量を決定するというものです。

例 1サイクル目のMAXが100㎏の場合

1サイクル目

1週目 70% 70㎏ 10レップ×3セット

2週目 75% 75㎏ 8レップ×3セット

3週目 80% 80㎏ 6レップ×3セット

4週目 85% 85㎏ 4レップ×3セット

→新たなMAX105㎏

2サイクル目

1週目 70% 72.5㎏ 10レップ×3セット

2週目 75% 77.5㎏ 8レップ×3セット

3週目 80% 82.5㎏ 6レップ×3セット

4週目 85% 87.5㎏ 4レップ×3セット

まとめ

漸進性過負荷の法則は、トレーニングをする人であれば誰しも知っておかなければならない基本法則ですが、きちんと実践できている人は多くはありません。感覚に頼った重量や回数の設定では、どうしても漫然と同じ重量を使ったり、無茶な重量設定にしてしまうことが少なくありません。

まずは基本の重量の増やし方を覚えることが大切です。そして、それを根治強く続けることができるかどうかが成功するか否かの分かれ道となります。

もちろん基礎となる正しいフォームの確立が必要であることは言うまでもありません。

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