ワークアウトのストレスからの回復に影響する要素

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ホメオスタシスが乱れた状態から適応を促すには、回復が不可欠な要素です。回復には、ワークアウト同士の間隔という時間的要素だけでなく、複数の要素が影響します。トレーニングで結果を出すためにも、オーバートレーニングを避けるためにも、回復に影響する要素に気を配ることはとても大切なことです。

今回は回復に関わる要素についてみていきたいと思います。

回復において最も重要な要素は、「十分な質と量の睡眠」と「食事管理」です。ちなみに食事管理とは、適切な量のカロリー、三大栄養素、水分、ビタミン・ミネラルを摂取することです。

問題なのは、これら睡眠・食事の最終的な管理は、指導者が行うことはできず、トレーニー自身が行う必要があるということです。トレーニングが成功するかどうかは、究極的にはトレーニー自身の自己管理能力にかかっているということを覚えておきましょう。

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睡眠

睡眠が重要なことは直感的にも明らかですが、多くのトレーニーやコーチはしばしばその重要性を見過ごしています。

トレーニングのストレスが増すほと睡眠の重要性も増していきます。

睡眠の大切さはどれだけ述べても足りないくらいです。睡眠は、自分自身でコントロールできる要素の中で、最も強力な同化を促す要素です。(※ここではシンプルに、同化とは筋肉を増やす方向に変化していくこと、異化とは筋肉を減らす方向に変化していくことと考えてください)

睡眠が不足すると、パフォーマンスは低下し、判断力は弱まり、強度の高いトレーニングに対する忍容性は低下します。気分は落ち込み、疲労感はより強く感じられます。生理学的な反応も停滞し、トレーニングに必要な適応も停滞しいます。

睡眠とホルモン

睡眠中は様々な生理学的変化が起こります。中でも、回復という観点からはホルモン分泌が重要です。同化を促すホルモンが盛んに分泌され、異化を促すホルモンは減少します。

眠りに落ちると、テストステロンの分泌が盛んになります。最初のREM睡眠の時にピークを迎え、覚醒まで維持されます。

成長ホルモンの分泌も睡眠中に活性化されます。深い睡眠が始まると成長ホルモンの濃度は上昇し、1.5〜3.5時間の間維持されます。成長ホルモンの主要な働きは、代謝を促進したり、体脂肪を減らしたり、筋肉や骨を成長させることです。

中途覚醒や睡眠時間の短縮はこれらの同化ホルモンの恩恵を減弱させることになります。

睡眠時間について

では、理想的な睡眠時間はどれくらいなのでしょうか?

生存だけならば4時間でも何とかなると言われますが、トレーニングを続ける場合には8時間以上の睡眠が勧められます。睡眠は回復をもたらすものであり、長ければ長いほど良いと言えます。

ちなみに、寝転がった瞬間に眠りにつくわけではないので、ベッドで過ごす時間と睡眠時間は異なります。例えば7時起床予定で、8時間の睡眠時間を確保したいならば、 23時より前にはベッドに入るべきです。

たんぱく質

日本人の食事摂取基準によれば、身体活動レベルがふつうの成人であれば、たんぱく質は1日60gの摂取が勧められています。平均体重が65kg程度なので、体重1kgあたり約0.9gです。

しかし、これは筋力トレーニングをする場合には当てはまりません。

筋肉は常に合成と分解が繰り返されています。そして、通常は合成される量と分解される量が同じため、全体でみると筋肉の量は一定に保たれています(平衡状態)。

筋力トレーニングをして、損傷を受けた組織の修復にはたんぱく質が必要です。しかし、もし回復に必要なだけのたんぱく質が食物から補給されなければ、生体は自己の筋肉を分解して必要なたんぱく質を補おうとします。十分なたんぱく質(と炭水化物)を摂取して初めて筋合成が筋分解を上回ります。筋肉の回復にはたんぱく質摂取が不可欠なのです。

実践的には、除脂肪体重1kgあたり3gを目標にたんぱく質を摂取しましょう。これは日本人の食事摂取基準よりはだいぶ多い量です。

アミノ酸スコアが高いたんぱく質を摂取することも大切です。大豆などの非動物たんぱく質だけではBCAA(分枝鎖アミノ酸。バリン・ロイシン・イソロイシン)が不足しがちです。年齢が高くなるほど、たんぱく質の質や量はより重要な要素になってきます。

筋肉の蛋白合成には、たんぱく質以外から摂取するカロリーも重要です。炭水化物や脂質が不足している場合、さらに余分にたんぱく質を摂取する必要が出てきます。つまり、炭水化物や脂質が不足していては、蛋白合成の効率が悪くなるということです。

(腎不全や肝硬変の場合は別ですが、)通常の腎機能や肝機能であれば、「たんぱく質の摂取の上限量はない」とされています。ただ、動物性たんぱくの摂り過ぎは概して栄養素の偏りにつながるので注意してください。精神面や金銭面からもたんぱく質に偏った食事は良くありません。大多数の人にとっては、上記のように除脂肪体重1㎏あたり3gの摂取で十分だと思われます。

プロテインのサプリメントがあれば、質の良いたんぱく質を手軽に摂取することができるため、大変便利です。ただ、食品からはサプリメントでは補いきれないビタミンやミネラルや精神的充足が得られることを忘れてはいけません。サプリメントはその名のとおりあくまで補助です。良質な食事の補助として使うのが本来の使い方であることを銘記しておきましょう。

カロリー

運動によってカロリー消費が高まる理由は主に2つです。

1つめは、あらゆる運動は体に貯蓄されたエネルギーを消費するため、次なる活動の前に補充しておく必要があることです。

2つめは、適切なトレーニングでは、ホメオスタシスが乱れ、組織の構造的な変化が起こります。そのため、たんぱく質、脂質、炭水化物を使って修復と回復が必要となります。

筋力トレーニングでは、運動中のエネルギー源は、主に炭水化物(グリコーゲン)であり、脂肪はあまり使われません。

運動後、休息に入ると、炭水化物は主に蛋白合成に使われ、脂質が蛋白合成以外の生体反応の主要なエネルギー源となります。

十分なカロリーとたんぱく質の摂取が大前提であり、ビタミンや必須脂肪酸や食物繊維の摂取はその後に考えるべきことです。

重要な点として、トレーニング日にはトレーニングで消費する以上のカロリーを摂取する必要があるということです。消費した分だけ摂取したのでは、維持するだけにとどまり、筋力を高めたり筋肉を増やすことはできません。

摂取カロリーをどれくらい維持量から増やせば良いかは正確にはわかりません。トレーニングの負荷、睡眠、性別、食事、年齢、遺伝的限界と現在の筋力との差など、たくさんの要素が絡み合っているからです。

もし運動中に消費されたエネルギーを補う分しかカロリーを摂取しなければ、適応のためのさらなるたんぱく質合成に必要なエネルギーが足りなくなってしまいます。より強くなるためには、維持量に加えて約200〜500kcalほど追加でエネルギー摂取することが勧められます。

問題点として、厳密に必要なカロリーが計算できないことが挙げられます。実際のところは除脂肪体重×40〜45kcalあたりから始めてみて、体重や筋力の増え具合をみながら調整する他はありません。

必須脂肪酸

脂質は欠かすことのできない栄養素の1つです。

中でも、ω3とω6脂肪酸は体内で合成することができないため、必須脂肪酸と呼ばれ、食品から摂取することが必要です。必須脂肪酸は、体の構造の維持や、免疫系や視覚の調整や、炎症の抑制などに作用しています。

これら2種類の必須脂肪酸のうち、ω3脂肪酸(DHAやEPAなどの魚などに多く含まれる脂質)の方が、同化を促進したり、ワークアウトの後の炎症や痛みを和らげることで、回復において重要な役割を果たしています。一方、ω6脂肪酸は過量摂取により、炎症が促進されます。現代社会の食生活ではω6脂肪酸は過剰摂取になりがちですので注意しましょう。

必要な量は決して多くはありませんが、意識しなければしばしばω3脂肪酸は不足しがちになります。魚やオリーブオイルなどにはEPAやDHAが豊富に含まれます。サプリメントも手軽です。

慢性的にω3脂肪酸の摂取が不足すると、乾燥肌、下痢、創傷治癒遅延、免疫力低下などが起こります。脂質摂取量を極端に減らすと、2〜3週間でこれらの症状が明らかになってくると言われます。

水分

水は、あらゆる生体内の反応の場所や、物質の移動の媒体となっています。そのため、脱水になると、生体内のあらゆる活動が停滞してしまいます。

代謝が活性化すると、それだけ水分の必要量は増加します。骨格筋の細胞は、脱水になると、その活動がかなり鈍くなります。ちなみにクレアチンのサプリメントを有効に作用させるにも水分摂取は必要な要素です。

では、1日に必要な水分はどれくらいの量になるのでしょうか?標準的な運動量であれば1.2〜1.6リットル程度と言われています。ただし、体が大きかったり、激しいトレーニングをしたり、気温などの状況によっては、さらに水分の必要量が増えると思われます。簡単な指標として、1日のカロリー摂取量1kcalあたり1mLの水分を摂取するというのがあります。例えば1日3000kcal摂取しているならば、1日3リットルの水を飲むということです。

水分の過剰摂取は、意識障害を伴う低ナトリウム血症を引き起こす可能性はありますが、腎臓の機能が保たれていれば、数時間で10リットル近い水を摂り続けることがない限り、尿として余分な水分は排泄されるため、通常は全く問題ありません。

水分摂取のタイミングですが、喉が渇いたと感じる前に水分を摂取するよう心がけることが大切です。実際に喉の乾きを感じたときには、すでに体内の反応系のバランスが崩れ始めたているからです。

最後に注意すべき点として、水分摂取には水やお茶など余分なものが入っていないものを飲みましょう。嗜好品として飲むものと、水分補給のために飲むものをしっかり区別しましょう。アルコール飲料は摂取することで逆に体内から水分が失われるため論外ですし、ジュースやスポーツドリンクなどのソフトドリンクには余分な糖分が多過ぎます。

ビタミン、ミネラル

現代社会において、ひどいビタミンやミネラルの欠乏症は滅多に起こりません。しかし、実は軽度の欠乏は頻繁に見られます。ほとんどの女性はカルシウムや鉄分が不足しています。例えば鉄分不足になると、貧血を起こし、酸素を運搬する能力が低下します。その結果、パフォーマンスや回復力の低下ぎ起こってしまいます。このようにビタミンやミネラルは様々な生体反応の調整役を担っています。

ビタミンやミネラルを摂取する上で大切なことは、色々な食材を摂取することです。また、なるべく加工されていない食品を選ぶことも重要です。これらは、コンビニなどが発達した現代社会ではなかなか難しいことでもあります。食生活を改善してもどうしても補給しきれない分はサプリメントで補うというのも1つの手段です。

まとめ

ストレスを受けた状態から適切に回復するためには睡眠と食事管理に気を配る必要がある。自己管理能力が必要。食事管理ではとくに、たんぱく質・カロリー・必須脂肪酸・水分・ビタミン・ミネラルの摂取に注意する。

参考

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