ボディビルディングとパワーリフティングでのスクワットの違い

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初心者のうちはフォーム習得に集中し、毎回全力でトレーニングしていれば筋肥大と最大挙上重量(筋力)の両方が順調に成長していくと思います。

しかし、初心者のレベルを抜けると、ある程度目的を絞ってトレーニングを行うことが必要になってきます。

今回はスクワットを例に挙げて、筋肥大や筋力強化を狙うときにどのようにすれば効率が良いのかということを考えてみたいと思います。

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はじめに

今回はパワーリフティングのように最大挙上重量を伸ばすことを目的とした場合と、ボディビルディングのように筋肥大を目的とした場合のスクワットを10個の項目をあげて比較してみたいと思います。

レップ数

筋肥大を目的とした場合、8~12レップが最も効果的ですが、25~50レップといった超高回数のセットを行うことも有効です。

それにはいくつかの理由があります。

  • 筋肉にはいくつかの種類の筋繊維があり、最も成長に有効なレップ数が異なる
  • 高回数のセットを行うことによる血流増加はパンプを高めてくれる
  • 筋肥大や脂肪燃焼に有効な成長ホルモンの分泌が高まる

一方、パワーリフティングのように最大挙上重量向上が目的の場合は1~5レップでセットを組むことがほとんどです。5レップは筋力を高めてくれる他にいくらか筋肥大の効果もあります。ただし、体重制限のある競技を行っていたり、脚を大きくしたくない場合は1~3レップにしておきましょう。

重量

ボディビルディングの場合は、どれだけの重さを上げることができるかは関係なく、どのような見た目をしているかが重要です。扱うウエイトは好きな重さでかまいませんが、筋肉をしっかり収縮させることが大切です。どのような重さでトレーニングする場合でも、必要なボリューム(レップ数×セット数)のトレーニングを適切なフォームで行うことが重要です。どれだけの重さが上がるかももちろん大切ですが、それより大切なのはどのように上げるかです。比較的ゆっくりとしたテンポで行うスクワットは軽めのウエイトでも効率よく筋肥大を促してくれます。

一方、パワーリフティングの場合は、どれだけ重いウエイトを上げられるかが全てです。筋肉に効かせる必要はありません。少しでも重いウエイトを使って、ルールで決められた位置までしゃがんで、そこから立ち上がるのが目標です。

テンポ

テンポは1レップにかける時間であらわされます。

わかりやすいように、伸展動作(しゃがみ)、ポーズ(ボトムポジションでのキープ)、収縮動作(立ち上がり)、トップ(スタートポジション)の4つの段階に分けて考えます。

しゃがみ

この筋肉が伸展する段階で時間をかけることは筋肥大を目的とするボディビルディングでは非常に有効です。逆にパワーリフティングではここで時間をかけすぎると筋肉痛の原因になってしまいトレーニングに悪影響を及ぼします。

週に1回程度の頻度でしかスクワットをしないのであれば筋肉痛は大した問題にはなりませんが、パワーリフティングの場合は週に2~4回くらいはスクワットの練習をするので、基本的には筋肉痛は望ましくありません。

ボトムポジション

ボトムポジションで一時停止を行うことはボディビルディングでもパワーリフティングでも良い影響を及ぼします。

ボディビルディングでは、筋肉を十分伸展させ、筋肉の可動域の拡大につながります。

パワーリフティングでは、ボトムポジションからの立ち上がりを強化する練習になります。

立ち上がり

ゆっくりとコントロールした動きで立ち上がる動作を行うことは筋肥大に有効です。

パワーリフティングの場合にはとにかく速く立ち上がることが重要です。重い重量を上げるときは実際にはスピードをつけて立ち上がることはできませんが、なるべく速く立ち上がろうと意識することが大切です。パワーリフティングの場合はボディビルディングの場合ほど立ち上がったりしゃがんだりする動作をゆっくり行う意義はありません。

スタートポジション

ボディビルディングの場合、スタートポジションに戻ったところでしっかり筋肉を収縮させることが大切です。しっかり筋肉を収縮させることは筋肥大に効果があるだけでなく、筋肉と神経の連動制を高めます。

パワーリフティングの場合はスタートポジションに戻ったところは次のレップのための休息としての意味合いが強いです。

タイム・アンダー・テンション

タイム・アンダー・テンション(time under tension)とは1セットのうちどれだけの時間筋肉が働いていたかという指標です。

伸展動作(しゃがみ)をゆっくり行うと、タイムアンダーテンションは飛躍的に長くなります。

筋肉にはいくつかの種類の筋繊維があり、それぞれ成長に適したタイムアンダーテンションは異なります。そのため、ボリュームが多くても少なくても筋肉は肥大するのです。

例として4‐1‐4‐1スクワットを紹介します。

これは4秒かけてしゃがみ、ボトムポジションで1秒停止し、4秒かけて立ち上がり、スタートポジションで1秒停止するというものです。1レップあたりの時間は10秒になります。これを8レップ行うと、タイムアンダーテンションは80秒になります。

このような長時間のセットを行うことは筋肥大に大きな効果があります。

他方でパワーリフティングの場合は、1セットが1~5レップであることが多く、各レップともなるべく速く動作するため、タイムアンダーテンションは通常非常に短いです。これによって筋肉痛が起こりにくくなったり、動作のスピードが速くなっていったりします。(動作のスピードが速いということはそれだけパワーがあるということを意味します)

バーをかつぐ位置

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左:ローバー 右:ハイバー

バーをかつぐ位置は大きくわけてローバー(low bar)とハイバー(high bar)の2つがあります。

ローバースクワットでは、バーは僧帽筋の下の肩甲骨の辺りで担ぎます。ハイバースクワットでは僧帽筋の真上かそこからやや下くらいで担ぎます。

ほとんどのボディビルダーはハイバースクワットを好みます。これは重心が大腿部と重なり、それが脚の成長につながるからです。

パワーリフターにはハイバーの場合とローバーの場合の両者がいますが、ローバーの方が好まれます。これは、バーを移動させる距離が短くて済むことと、重心が大腿よりも膝関節に近づき股関節を深く屈曲させることで、脚の負荷が減り、臀部や下背部もうまく稼働できるからです。

姿勢

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左:ローバー 中央:ハイバー 右:フロントスクワット

脚の筋肥大を狙う場合、なるべく体は直立させた方が良いです。体を直立させた方が負荷が大腿にかかりやすくなるからです。逆に、体が前傾姿勢になるほど、負荷は下背部にかかってきます。(これが体がほぼ直立するフロントスクワットが脚の発達に効果的な理由です)

パワーリフターには直立姿勢の人から前傾姿勢の人までさまざまです。自身が最も重い重量を規定のルールに沿った範囲で上げられるようであれば、姿勢は関係ありません。

セット間の休憩時間

ボディビルディングの場合は多様です。

高重量を使って長いインターバルをとることもあれば、ドロップセットのようにほとんどインターバルをとらないこともあります。これらはどれも異なった刺激を与え、成長を促します。プログラムやウエイトの重さによって様々ですが、ボディビルディングで用いられるインターバルは1~3分程度のことが多いです。

パワーリフティングのように、常に最大挙上重量近くを扱う場合は、インターバルは長い時間が必要です。30秒そこらでは次のセットを行うことはできません。3分は間隔をあけることが多いです。無用にインターバルを短くすることは扱う重量を落としたり怪我のリスクを高めることに繋がります。

可動域

筋肥大のためには、筋肉をしっかり伸展させることが大切です。そのためフルスクワットが基本となります。

ジムではしばしばスクワットとも呼べないようなスクワットをしている人を多々見かけます。膝を曲げることがスクワットではありません。お尻をしっかり下ろしてしゃがんでこそスクワットといえます。

ではどこまで深くしゃがむべきでしょうか。基本ルールは「痛みや不快感が出ない範囲でなるべく深く」です。特定の筋肉を刺激するため、レッグエクステンションやランジなども用いられますが、全可動域を使ってのフルスクワットがボディビルディングでの脚のトレーニングの基盤になることは揺らぎません。

パワーリフティングの場合、ルールで決められた深さまでしゃがめば十分です。すなわち、股関節が膝の高さより少しでも低い位置までしゃがめば良いのです。無用に深くしゃがめば限界ギリギリの重たい重量を持ち上げることは難しくなります。

もちろん、可動域を変えることは弱点強化につながります。例えばボトムポジションからの立ち上がりが弱い場合にポーズスクワットを行ったり、スティッキングポイント辺りで停滞する場合はその部分でのパーシャルスクワットを高負荷をかけて行う、といった具合です。

足の位置(スタンス)

一般的にボディビルディングのスクワットは、足幅がちょうど肩幅程度と狭めであり、つま先の向きもほとんど平行かほんのわずかに外に開く程度です。どれだけ重いウエイトを上げるかよりも脚がどれだけ発達するかが重要だからです。

パワーリフティングのスクワットでは、概して足幅が広く、つま先を外側に向けたスタンスが多いです。これにより臀部の筋肉を稼働できるようになり、その力を源としてウエイトを上げることができるようになります。

ただ、逆に足幅が狭いパワーリフターもいますので、各自の体格に最も合ったスタンスを選ぶのが一番だということです。

筋肉の収縮

トップポジションで筋肉をギュッと強く収縮させることは有益なこともありますし、有害なこともありえます。

ボディビルディングの場合、筋肉を収縮させることはとても有益です。毎回毎回トップポジションで筋肉を収縮させきることで脚の成長が促されます。筋肉と神経の連結が良くなり、意のままに収縮させることができるようになるほど、脚はそれに反応して成長していきます。また、筋肉を収縮させる感覚を養うことは、ボディビルディングのコンテストでのポージングにも役立ちます。

しかし、パワーリフティングの場合は話が別です。筋肉の緊張は保っておく必要がありますが、トップポジションで筋肉を無用に収縮させることにエネルギーを費やすと、次のレップでの立ち上がる動作に費やすエネルギーが浪費されてしまいます。

まとめ

  1. レップ数。筋肥大には中程度と高レップの組み合わせが、筋力強化には低レップが適する。
  2. ウエイト。筋肥大も狙う場合は重い重量と軽い重量の組み合わせを、筋力強化を狙う場合は基本的に重いウエイトを扱う。
  3. テンポ。ゆっくりとした伸展動作を行うことは筋肥大に有効だが、パワーリフティングの場合はあまり利益がない。
  4. タイムアンダーテンション。タイムアンダーテンションが長いほど筋肥大には有効だが、筋力強化にはあまり関係がない。
  5. バーの位置。一般的にボディビルディングの場合はハイバースクワット、パワーリフティングの場合はローバースクワットのことが多いが例外も少なくない。
  6. 姿勢。大腿部の筋肥大には直立に近い方が有効。パワーリフティングの場合は各自の体型に合う姿勢をとれば良い。
  7. セット間のインターバル。ボディビルディングの場合は短時間や長時間を組み合わせる。パワーリフティングでは少なくとも3分以上の十分なインターバルをとる。
  8. 可動域。どちらの場合も痛みや不快感が出ない範囲で深くしゃがむことは有用だが、パワーリフティングでは、本番においてはルール上必要な深さまでしゃがめば良い。
  9. 足の位置。一般的にボディビルディングの場合はナロウスタンス、パワーリフティングの場合はワイドスタンス。ただ、股関節の可動域などの個人差も大きいので、各人に合ったもので良い。
  10. 筋肉の収縮。筋肥大を目的とする場合はトップポジションで筋肉をギュッと強く収縮させる。トップポジションでは筋肉を絞り込むのに時間に使う。一方、パワーリフティングでは、次のレップで力を出せるように、トップポジションでは休憩に時間を使う。

ボディビルディングの場合は重量という機械的刺激だけでなく、乳酸蓄積や成長ホルモン分泌促進などの代謝ストレスを駆使し、速筋繊維も遅筋繊維も余すことなく刺激するのが重要です。フォームについても固定ではなく、スタンスや可動域を微妙に調整して様々なバリエーションの刺激を筋肉に与えることが良い結果をもたらします。thWL0YQDL7

逆にパワーリフティングの場合は少しでも重い重量を上げるのが至上命題なので、全身の筋肉をなるべく多く稼働させることが重要です。また神経のリミッターを外すために、基本的に高重量を用いて、十分なインターバルをとって毎回毎回フルパワーのトレーニングをすることが基本となります。th345BTIYF

一般的にはここまでどちらかに偏る必要はないですが、目的に応じた手段を知ることができればいろいろ応用が利きます。

一般的にはビッグ3などの複合関節種目はパワーリフティング的な要素がうまくはまる種目だと思いますし、アームカールなどの単関節種目ではボディビルダー的なやり方が非常に役立つと思います。また、年齢を重ねるごとに高重量にどんどんチャレンジしていくことの危険が増してきてしまいますので、ボディビルダーの「効かせる」トレーニングは非常に有益な情報になると思います。

筋力には生まれ持った限界がありますが、トレーニングの技術には限界なんてありません。今回の内容をふまえていろいろ試行錯誤してみてもらえると幸いです。

今回の記事はBodybuilding vs Powerlifting Squatという記事を引用させていただきました。

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