スクワットにおいて安全性を保ちながらどこまで深くしゃがめるか

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スクワットでどこまで深くしゃがむべきかという問題について、解剖学的な観点から考えてみました。

スクワットでしゃがめる限界というのはやはり各人で異なっているのですが、それはどのような要素から決まるのか、限界値はどう推測するのか、それをどう実践に活かすのかという内容です。

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バットウィンク(butt wink)とは

スクワットの深さを語る上でバットウィンクについての理解は欠かせません。

buttはお尻のことで、winkはまばたきをするという意味ですが、スクワットにおいては、深くしゃがみこんだところでお尻がお辞儀するように動く動作を指します

この動きを解剖学的に説明すると、股関節の屈曲できる限界を超えて深くしゃがみ込む(重心を下げる)ために、腰椎を屈曲し骨盤を後傾させることで股関節の動きを代償している状態です。

下の画像において、左側では骨盤が後傾せず、全ての腰椎がニュートラルなのに対して、右側のバットウィンクの状態では骨盤が後傾し、腰椎が前屈して腰が丸まってしまっています

バットウィンク

http://deansomerset.com/butt-wink-aout-hamstrings/

バットウィンクの問題点は臀部が前屈すること自体ではなく、脊椎(とくに腰椎)がニュートラルポジションを保てなくなることです。脊椎がニュートラルポジションを保てないと、椎間板ヘルニアなど脊椎の故障を起こすリスクが急増します。また、骨盤から腰椎で発生する不安定さをカバーするために、膝関節や仙腸関節にかかる負担が増し、膝痛や腰痛を起こすリスクも増してしまいます。

仙腸関節

上記のことから、とくに高重量を扱ってスクワットを行う場合には、故障を避けるために、バットウィンクは避けるべき動作であることがわかります

(上級者の場合には、股関節と下背部の伸展の連動性を高めるという目的で、あえてバットウィンクを起こす程深くしゃがみ込むこともあります。もちろん無理のない重量で行い、怪我には細心の注意が必要です。)

バットウィンクの原因

バットウィンクの原因としてしばしばハムストリングスの硬さが犯人扱いされます。しかし、ハムストリングスの主な機能は膝関節の屈曲です(股関節の外旋および伸展にも少し関与しています)。つまり、ハムストリングスが硬いことと骨盤が後傾することの関与は大きくはありません。

バットウィンクの原因は以下のような点が挙げられます。

股関節の可動域が狭い

股関節の屈曲できる角度が小さく制限されているほど、それを代償するためのバットウィンクは発生しやすくなります。

下の動画によると、骨盤の動きを除いた純粋な股関節の屈曲というのは約70~80度程だそうです。

股関節の可動域を大きくする簡単な方法は、足幅を広めにとり、膝もそれに合わせて外側に開く(股関節を外旋する)ことです。

試してみるとすぐわかると思いますが、足幅をが狭い時より、がに股にした(股関節を外旋した)時の方が股関節の屈曲できる可動域は大きくなります。

ナロウスタンス

ワイドスタンス

股関節をうまく使ったスクワットの練習としてゴブレットスクワットがよくお勧めされています。

ゴブレットスクワットは胸の前でダンベルを持って行うスクワットです。重心が前にあることで後方へしゃがみこむ感覚をつかみやすいことや体幹をまっすぐ保ちやすいことに加え、肘が膝に当たらないように膝を外側に開くフォームを習得しやすいのが特長です。

安定性に乏しい(負荷が重すぎる)

扱う重量が大きすぎると、重さに負けて脊柱起立筋が緊張を保つことができず、腰が丸まってしまいます。良いフォームを保つためには扱う重量が適切であることが重要です。

重量を軽くすることでバットウィンクが起こらなくなる場合は、扱う重量が重すぎると考えましょう。

フォームが安定していない

とくに初心者の場合はフォームが安定しないため、毎回のしゃがむ動作にばらつきが出やすいです。

スクワットという種目の動作自体が未熟な場合もバットウィンクがみられやすくなります。

バットウィンクを起こさずに深くしゃがめる限界を探る

スクワットにおいて、バットウィンクを起こさずになるべく深くしゃがむことが重要であることがわかりました。

では、実際のところどれくらい深くしゃがむことができるのでしょうか。

それを知るためにいくつかのテストをしてみましょう。

参考:https://www.t-nation.com/training/squat-depth-the-final-answer

股関節の可動域の確認(Hip Scour Test)

色々な足幅や膝の向きで股関節の動きを確認してみてください。

そして、その中で最も快適だと感じる足幅と両膝の間の距離を記録しておきましょう。それがあなたにとって最適なスクワットの足幅と、ボトムポジションでの両膝の距離になります。

バットウィンクが起こる角度の確認

Rock Back Test

スクワットの動作中は終始脊椎がニュートラルポジションを保っているのが重要でした。

このロックバックテストで受動的に股関節を屈曲させた時に、どこまで屈曲すると脊椎の前屈や骨盤の後傾が起こってくるか調べます。

足幅と両膝の距離を先ほどのHip Scour Testで得られた距離にセットした状態で四つん這いになります。そこから少しずつ股関節を屈曲させていき、どこで腰が丸まってしまうか確認しましょう。腰が丸まる直前の角度を記録しておきます。

Supine Squat Patterning

次に、自力で股関節を屈曲させた時にどこでバットウィンクが起こるのかを確認します。

地面に仰向けに横になり、脊椎がまっすぐな状態を作ります。先のテストで得られた足幅と両膝の距離で股関節を深く屈曲させた時に、お尻が地面から浮いてしまう直前の角度を記録します。

このテストでは脊椎全体が地面に固定されるため、より感度良く股関節の動きの代償が起こった瞬間をとらえることができます。

この角度が上のRock Back Testで得られた角度よりも浅い場合は、こちらの股関節の角度を安全なスクワットで使用する角度としてください。

実際のスクワットへの応用

上記の3つのテストで、あなた自身における安全なスクワットの必要条件が決まりました。

次は足の裏が地面に固定された実際のスクワットで確認していきます。

足幅は最初のHip Scour Testで得られた距離を守ってください。

まずは自重のみのスクワットから確認していきます。

バットウィンクなどの一切の代償を起こさずに脊椎を終始ニュートラルポジションに保ったまま最も深くしゃがんだところでの股関節の角度を記録します。

おそらくほとんどの人は最初はRock Back TestやSupine Squat Patterningで得られた結果で期待されるほどは深くしゃがめないと思います。動作に習熟してきて、自重でのスクワットでの実測値と先のテストで得られた理論値との差がなくなったら、次はいよいよバーベルを担ぐ段階に移ります。

(※ほとんどの人はすぐバーベルを担いだ荷重スクワットに移ろうとしますが、その前にまずはスクワットの動作やバーベルの扱い自体にしっかり習熟すべきです。そうしなければどこに問題点があるのかよくわからなくなってしまいます)

最初はバーベルバーのみから初めて、

↓60㎏・・・

↓115㎏と、バットウィンクなどの代償が見られないようなら徐々に負荷を増やしていきましょう。

負荷を用いたスクワットにおいても、足幅と両膝の間の距離はこれまでと一緒にし、ボトムポジションでの股関節の角度を測定しましょう。

まとめ

繰り返しになりますが、スクワットで安全性を保つのに大切なことは、動作中は終始脊椎をニュートラルなポジションに保つことです。そのためにボトムポジションでバットウィンクを避けることが重要だということでした。

バットウィンクは股関節の可動域やフォームの習熟度など様々な原因で起こりえます。

いくつかのテストをすることで、自分の関節の可動域に合わせたフォームで、終始脊椎をニュートラルポジションに保ちながらどこまで深くしゃがめるかが推測できます。その深さを目標にしつつ、スクワットの動作を繰り返すことで動作のばらつきもなくなり、より安全により深くしゃがんだスクワットを行うことができるようになるというわけです。

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