筋肥大を目的としたトレーニングを行う場合のトレーニングボリュームについて

スポンサーリンク

筋肥大のために考慮すべきトレーニングボリューム

筋肥大は、筋繊維の量の増加によって起こります。

個々の筋繊維の量の増加は、それぞれの筋繊維が、自身が作り出す機械的張力が一定以上であることを感知したときに起こります。

力-速度関係(下図。収縮速度が遅いほど、筋繊維が発揮する力は大きくなる)が、能動的に発揮する力の主要な決定因子であるため、筋肥大を引き起こす機械的張力は、筋繊維が活性化されゆっくりと収縮するときに生じます。

筋肥大は、高閾値のモーターユニットが支配している筋繊維の量の増加が主体です。

上記のことをまとめると、「高閾値モーターユニットが支配する筋繊維が活性化され、ゆっくりと収縮することで、筋肥大が誘発される」ということになります。

上記のような、筋肥大を誘発する動作(stimulating reps)の数が、真のトレーニングボリュームであると考えられるため、各強度における、トレーニングボリュームは、下図のようなモデルで表されます。

stimulating repsは、個人差や筋肉によって異なる可能性はありますが、おそらく限界(オールアウト)までの残り5reps程度と仮定されています。

縦軸は最大反復回数、横軸は実際の反復回数、濃い赤の中の数字がstimulating repsの数です。

例えば、3RMで3回反復した時のstimulating repsの数は3、8RMで7回反復した時のstimulating repsは4となります。

上図のようなモデルで考えると、1〜4RMの強度では、1セットあたりのstimulating repsは少なくなるため、より多くのセットを行う必要があります。また、5RM以下の強度では、最初の数repは筋肥大の刺激にはならない、単なる準備運動であるといえます。

オールアウト前に動作を止める場合

オールアウトは中枢神経に多大な負荷をかけたり、怪我のリスクを増したりするため、基本的にはオールアウトは避けて、その1〜2回手前で動作を止めることが推奨されます。

この場合、各強度と反復回数におけるstimulatingrepsは下図のようになります。

例えば、5RMの強度で4回反復する場合(5RM with 1rep in reserve)はstimulating repsは4になります。

このように、オールアウト前に動作を止めると、stimulating reps(すなわち筋肥大の刺激)が減ることになります。そのため、オールアウトする場合に比較して、オールアウトしない場合は、stimulating repsを稼ぐためにより多くのセットが必要になります。

例えば、オールアウトするセットを3セットを実施すると、stimulating repsは3×5=15になります。一方、オールアウトの手前1レップまでで動作を止めるとすると、同じ3セットを行う場合でもstimulating repsは3×4=12になります。この場合は、4セット目を追加することで、stimulating repsが4×4=16となり、ほぼ同等の刺激となります。

また、オールアウトのからの余力を残すほど、より多数の追加セットが必要になります。例えば、オールアウトの手前2レップで止めるのを3セット行う場合のstimulating repsは、3×3=9となります。

重量と回数を固定した場合(ストレートセット)のトレーニングボリューム

ここでいうストレートセットとは、重量と回数の両方を固定する方法を指します。

この場合、最初のうちは余力を残した状態でセットを終え、最終セットでオールアウトするようにデザインされています。

この場合、多数のセットをこなしても、筋肥大の刺激(つまりはstimulating repsの数)は大したことがないという可能性があります。

例えば、下図のようなモデルで、5セット×10回のストレートセットを行った場合を考えてみます。1セット目は7回、2セット目は5回、3セット目は3回、2セット目は2回の余力を残してセットを終え、最終セットでオールアウトするとします。

この場合、stimulating repsは1〜2セット目は0、3セット目は2、4セット目は3、5セット目は5となります。

5セットで、合計50回もの反復動作をしたにもかかわらず、真の筋肥大の刺激となるstimulating repsはたったの10にとどまり、効率の悪いトレーニングとなってしまいます。

ドロップセットのトレーニングボリューム

ドロップセットとは、オールアウト後すぐにウエイトを20%ほど減らして追加の反復動作を限界まで行うテクニックです。

ドロップセットには筋肥大効果を増すという報告もあれば、ボリュームを揃えた場合は追加の利益はないという報告もあります。

ドロップセットを行う場合も、通常のセットを追加した場合と同じく、オールアウトまでの最終5レップがstimulating repsとしてカウントされます。

つまり、ドロップセットは、セット間のインターバルを限りなく短くして追加のセットを行ったというように考えられます。

レストポーズ法のトレーニングボリューム

レストポーズ法は、通常のセットをオールアウトまで行った後に、15〜20秒ほどの短い休憩をはさんで、さらに限界まで動作を反復するテクニックです。追加で行ったセットでは2〜3レップ(通常5レップ未満)反復可能なことが多いです。

レストポーズ法では、最初のオールアウトまでに実施したstimulating repsに加えて、短いインターバル後に追加で行ったセットの反復動作がstimulating repsとカウントされます。

各トレーニング法の比較

筋肥大を引き起こす刺激の大きさは、実施したstimulating repsの数に比例します。

ここでさらに考慮すべき因子は「回復」です。

通常は、オールアウトまで追い込んだ場合は、次のトレーニング実施までにより多くの時間を要します。

また、多数の反復動作を行ったワークアウトは仕事量が増えるため、それだけ回復に要する時間が増えます。

さらに、セット間のインターバルが短い場合、中枢神経にかかる負担が大きくなります。これもまた回復に要する時間を増加させる原因となります。

そのため、効率よく筋肥大を促す刺激を得るためには、stimulating repsはなるべく増やしつつ、オールアウトをなるべく避け、反復回数の総数をなるべく減らし、インターバルを十分確保することが肝要です。

例えば各セット10回するとして、stimulating repsを15確保したい場合、以下のような例が考えられます。

• メインセット1セット+レストポーズ法5セット(5+3+2+2+2+1)=オールアウト6回、総反復回数20回

• メインセットで毎回オールアウト(5+5+5)=オールアウト3回、総反復回数30回

• メインセット1セット+ドロップセット2セット(5+5+5)=オールアウト3回、総反復回数30回

• ストレートセット5セット(1+2+3+4+5)=オールアウト1回、総反復回数50回

• 各セットオールアウトの1回手前で止める×4セット(4+4+4+4)=オールアウト0回、総反復回数40回

• 各セットオールアウトの2回手前で止める×5セット(3+3+3+3+3)=オールアウト0回、総反復回数50回

オールアウトの回数、総反復回数、インターバルの長さの3つの要素のうち、個人の好みにあったものを選ぶことになります。

まとめ

筋肥大のための刺激は、高閾値モーターユニットが支配する筋繊維が活性化しつつ、ゆっくりと収縮する、オールアウト手前の約5レップのみであり、これをstimulating repsと呼ぶ。

オールアウトを避ける場合、stimulating repsが減るため、stimulating repsの数を確保するためには追加でセットを行なう必要が出てくる。

筋肥大を目指す場合、stimulating repsをなるべく増やすことが必要だが、トレーニング頻度を増やすためにも、回復に影響する因子(オールアウトの回数、総反復回数、セット間のインターバルの長さ)を適切に調整する必要がある。

コメント

タイトルとURLをコピーしました