スモウvsコンベンショナルデッドリフト徹底比較!どちらを行うべきか?

SNSフォローボタン

フォローする

デッドリフトはスモウデッドリフトと呼ばれる足幅を大きく広げるものとコンベンショナルデッドリフトと呼ばれる足幅を肩幅程度にするものの2つのスタイルに大きく分けられます。

そこでしばしば問題になるのが、いったいどちらのデッドリフトを行うべきかということです。

今回は2つのタイプのデッドリフトの特徴を解説し、実際にどちらのデッドリフトがより適しているのかというところを考えてみたいと思います。

スポンサーリンク

モーメントアームについて

2つのデッドリフトを比較するにあたってモーメントアームの理解は欠かすことができません。

モーメントアームとはテコにおける支点から力点までの水平線上の距離のことです。

トレーニングで例えると、モーメントアームが大きいほど、つまり体(支点)と重り(力点)が離れているほど、重りを支えたり動かしたりするのに大きな力が必要になります。逆に言うと、体と重りが近くにあるほど重り制御するのは楽になります。

モーメントアーム

ちなみに、てこの原理により、モーメントアームに差があると、軽い重りと重たい重りが釣り合うという現象が起こります。

てこ

重たいウエイトを扱いたかったら、なるべく体の重心に近いところでウエイトを動かすことが重要であるということがわかっていただけたかと思います。

デッドリフトにおけるモーメントアーム

ではデッドリフトにおいて上記の力学的な解説はどのように応用できるのでしょうか。

デッドリフトにおいて最も問題となってくるのは股関節とバーベルとの距離です。(膝関節とバーベルとの距離は近いため膝関節のモーメントアームはほとんど無視できます)

股関節をより効率よく伸展させるためには、股関節(支点)とバーベル(力点)との距離(モーメントアーム)を小さくすることができると有利になります。

スモウデッドリフトでは足幅を横に大きく広げることによって、コンベンショナルデッドリフトよりもバーベルと股関節との距離を近づけることに成功しています。

相撲vsコンベンショナル

スモウデッドリフトでは股関節とバーベルとの距離が近くなることで、コンベンショナルデッドリフトよりも股関節を容易に伸展させることができるということです。

さらに、脊椎をニュートラルポジションに保つのもスモウデッドリフトの方が楽になります。

デッドリフトでの膝関節と股関節

2つのデッドリフトを比較する上でもうひとつ重要な原則があります。それは関節はより屈曲した状態であるほど伸展させるのに労力が要るということです。

簡単にいうと関節は曲げた状態であるほど伸ばしにくいということですね。フルスクワットの方がハーフスクワットより断然しんどいということからも、この原則はわかりやすいかと思います。

さて、デッドリフトでは伸展させる関節は主に2つです。それは膝関節と股関節です。

では膝関節と股関節の角度に注目してもう一度2つのデッドリフトを比較してみましょう。

スモウ,コンベンショナルデッドリフト

左のコンベンショナルデッドリフトでは、膝関節はあまり屈曲しておらず足は伸びた状態に近いですが、股関節が大きく屈曲して前傾姿勢になっています。

一方、右のスモウデッドリフトでは、膝関節が大きく屈曲して腰が低い位置に下りていますが、股関節はあまり屈曲せず、体幹の角度が直立に近くなっています。

この2つの関節の角度の違いによって、それぞれのデッドリフトに以下のような違いが出てきます。

コンベンショナルデッドリフトは膝を伸ばすのは容易ですが、体を直立させるのがしんどいです。つまり、大腿四頭筋への負担は小さいものの、脊柱起立筋に強い負荷がかかります。そのため、ファーストプル(バーベルを床から膝の高さくらいまで引き上げること)は比較的楽ですが、ロックアウト(膝の高さからフィニッシュポジションまで)に強い力を要します。

逆にスモウデッドリフトでは膝を伸ばすのがしんどくて、体を起こすのは容易です。つまり大腿四頭筋に強い負荷がかかる一方で、脊柱起立筋への負担は小さくなります。そのため、ファーストプルに強い力が必要ですが、そこを越えるとロックアウトは比較的容易です。

スモウデッドリフトとコンベンショナルデッドリフトの特徴の比較

2つのデッドリフトの特徴をまとめると下の表のようになります。

  スモウ コンベンショナル
足幅 広い 狭い

股関節の

モーメント

小さい 大きい
膝関節 屈曲大 屈曲小
股関節 屈曲小 屈曲大
股関節の可動域 やや減少 大きく必要
負担の大きい筋肉 殿筋、ハムストリングス、大腿四頭筋、僧帽筋 脊柱起立筋、背筋群(Posterior chain)
バーの移動距離 短くて済む 長い
ファーストプル きつい
ロックアウト きつい
適した体格 胴が長い人、腕が短い人

胴が短い人、腕が長い人

体格による個人差

体格によってもデッドリフトのやりやすさは影響を受けます。デッドリフターにとって、体幹の長さと腕の長さは重要な要素です。

ここで腕の長さを例にとって比較してみましょう。

デッドリフト,体格

左側のように腕が長い人は、右側のように腕が短い人に比べて、股関節とバーベルの位置が近く、股関節と膝関節の屈曲がより少なくて済んでいるのがわかるかと思います。つまり腕が長い人の方がすべての要素においてより有利な条件が整っているということです。

これと同様のことが体幹部が短い人と体幹部が長い人との比較でもみられ、体幹部が長い人と比較して体幹部が短い人はより有利な条件でデッドリフトを行えます。

体幹部が長い人や腕が短い人はコンベンショナルデッドリフトでは窮屈な姿勢となってしまいます。そのため、そのような不利な体格の人はスモウデッドリフトの方が高重量を上げやすいです。

どちらのデッドリフトが適しているかの判別方法

腕の長さと体幹の長さを計って2つのスタイルのどちらが適しているか判断するという方法があったのでご紹介します。

原著はMichael HalesによるImproving the Deadlift:Understanding Biomechanical Constraints and Physiological Adaptation to Resistance Exerciseです。

また、こちらの動画も参考にしています。

腕の長さ、体幹部の長さ、身長を計ります。

腕の長さは上腕骨頭から中指の先端までの長さです。

上腕骨

便宜的には動画の説明通り肩の頂点から計ってもらえれば良いと思います。動画の1:28あたりからの測定シーンを参考にしてください。

次に足の長さを計ります。これは大腿骨の大転子から床までの高さです。

大転子

便宜的には足の付け根から床までの高さを計ってください。

そして身長から足の長さを引いた長さを体幹部の長さとします。

腕の長さと体幹部の長さがわかったら、それぞれを身長で割って、何%になるかを計算します。

それぞれのパーセンテージに応じて、腕や体幹部の長短が決まり、それぞれの体格ごとに適したデッドリフトは以下の表のようになります。

  短い 平均 長い
体幹部の長さ <47% 47%

>47%

腕の長さ <38% 38% >38%
 

体幹部が

短い

平均

長い

腕が短い

どちらでも スモウ スモウ

  平均

コンベンショナル どちらでも スモウ
  長い コンベンショナル コンベンショナル どちらでも

※原著では体幹部が32%を平均としていましたが、さすがに短すぎるので、上記の動画やこちらのサイトを参考に47%を平均としています(頭部と頸部の長さを含めるかどうかとのこと)

上の表の結果をまとめると、体幹部が長い人や腕が短い人にはスモウデッドリフトの方が適していて、体幹部が短い人や腕が長い人にはコンベンショナルデッドリフトの方が適しているということです。

「どちらでも」のゾーンの場合は、脊柱起立筋が強ければコンベンショナルデッドリフトが、大腿四頭筋や殿筋が強ければスモウデッドリフトが適しているかと思います。

まとめ

デッドリフトに影響を及ぼす力学的な因子について考えてみました。

体格によって適したスタイルは異なることがわかっていただけたかと思います。

ただし、今回の内容は高重量を追い求める場合の話であり、パワーリフティングの選手でないのであれば、普段は筋力強化のために一方に固執しないことは重要かと思います。その方がトレーニングの幅が広がると思います。

例えばスモウデッドリフトならば下背部への負担が少ないため、腰に不安がある場合でも取り入れやすいですし、スクワットとの相性も良いです。普段スクワットとデッドリフトをどちらも行うと回復が追い付かない人はフロントスクワットやスモウデッドリフトをうまく組み合わせながらトレーニングプログラムを立ててみてください。

デッドリフトは高重量が扱えるために非常に全身強化に有効な種目です。2つのスタイルの特徴をよく理解してうまく利用してみてください。

Copyright secured by Digiprove © 2016
スポンサーリンク

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク