超回復とは何か?それをどう活用するか?

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筋肉が強くなっていく仕組みの理解において、超回復という理論の理解は欠かすことができません。この理論はトレーニングの根幹を成す知識であるため、多くの内容が関わってきます。

過負荷の法則、反復性の法則、漸進性の法則というのを覚えているでしょうか。(参考:効率的な筋トレのために絶対知っておくべき7つの原則)トレーニングは十分な強度で少しずつ強度を上げながら繰り返し行うことが大切だという内容でしたね。これらの法則を裏付けるのがこの超回復という理論です。

今回は超回復の理論について学び、それを実践でどう活かしていくかということについて考えていきたいと思います。

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超回復とは

超回復とはごくごく簡単に言うと、『トレーニング後の一定期間、トレーニング前よりも筋力など体力のレベルがアップする』という理論です。

文字だけではわかりづらいので視覚的にみてみましょう。超回復の説明において、よく使われるのが下のようなグラフです。筋力などの体力レベルを縦軸とし、時間を横軸としたグラフです。

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1つ目はトレーニング前の期間、2つ目はトレーニングによる疲労期、3つ目は疲労からの回復期、4つ目が超回復期です。
トレーニング前の体力レベルは±0のベースラインにあります。
トレーニングにより疲労するため、体力レベルはいったんベースラインよりマイナス側へ低下します。
トレーニングが終わると回復期に入ります。ここで十分な栄養や睡眠をとることにより、筋肉のグリコーゲンレベルが元に戻り、各種酵素やホルモンのレベルが回復し、神経系や筋骨格系の受けたダメージが回復することで、体力レベルはもとのベースラインまで回復します。
しかし、回復はもとのレベルに戻るだけには留まりません。体にもともと備わった適応反応というものがあり、次に同じトレーニングをした時にそれを乗り越えられるように、ベースラインを超えてさらに体力レベルが回復します。このベースラインを超えて体力レベルが回復するということを超回復と呼ぶのです。
ただし、超回復の期間は長くは続きません。そこで次のトレーニングをしなければ体力レベルはトレーニング前と同じベースラインまで少しずつ戻ってしまうのです。

進歩を続けるために超回復の波に乗れ

超回復後にトレーニングを止めてしまうと体力レベルは徐々に元に戻ってしまうということがわかりました。それでは逆に超回復の期間中に次のトレーニングを行うとどうなるでしょうか?

なんと次の超回復では、さらに体力レベルが上昇するのです。

つまり、うまく超回復の期間を狙ってトレーニングを繰り返せば、理論上はどんどん体力レベルを上げていくことが可能となるのです。

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超回復に必要な4つの要素

超回復を十分に引き起こすためには、下記の4つの重要な要素があります。

1 心理的なストレスや体調不良がないこと

ストレスがある状態ではホルモンバランスなどが乱れ、トレーニングの刺激に対してうまく適応反応が起こりません。

2 必要かつ十分なトレーニングの強度とボリュームであること

トレーニングの強度に応じて、体力レベルの低下の程度や回復期の期間は変わってきます。

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トレーニングの強度が足りないと疲労が軽く、回復期が短くすむかわりに超回復の程度も小さく、期間も短いです。

一方でトレーニングの強度が強すぎると、疲労が強くなりすぎ、低下した体力レベルを元に戻すのが精いっぱいとなります。回復に長時間を要する上に超回復が十分起こりません。

トレーニングは過負荷の原則に従って、身体の構造的な変化を引き起こし機能的な適応を引き出すめに、ややきついと感じる程度の強度やボリュームが保たれていることが必要です。

3 十分な休息をとること

休息は超回復において最も重要な要素です。

筋トレのような強度の強いトレーニングを行った後は、よく食べてよく眠り、回復期の時間を十分に確保しましょう。これがなければ最適な生理学的適応反応を引き起こすことができません。

ジョギング程度の軽度の有酸素運動であれば回復には数時間もあれば十分ですが、筋トレのような強度の強い運動では回復に48~72時間(場合によってはさらに長時間)を要すると言われています。

この回復期間の長さの差の原因は、軽度の有酸素運動は筋グリコーゲンの補充のみで回復が成し遂げられるのに対して、筋トレでは筋グリコーゲンの補充に加え、内分泌系や精神系の回復、新たな蛋白質の生合成など多くの生物学的適応反応が引き起こされて初めて回復が成し遂げられるからです。

4 最適なタイミングでトレーニングを繰り返すこと

最初に超回復の期間に次のトレーニングを行った理想的な場合について説明しました。

それでは十分な休息を取る前に次のトレーニングを行ったとしたらどうなるでしょうか?

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体が十分に回復する前にトレーニングを繰り返すと疲労がどんどん蓄積していきます。体力レベルは元のレベルに回復することができず、逆にどんどん低下していってしまうのです。これがオーバートレーニングというトレーニングをやりすぎた状態です。だるい、何をするにも意欲が出ない、トレーニングをやってもやっても結果が出ないという状態になっている場合はオーバートレーニングになっていないか注意が必要です。

逆にトレーニングの期間が空きすぎる場合。つまり、超回復が終わってから次のトレーニングが行われた場合は、またゼロからのスタートとなるので継続的な進歩が得られません。

超回復の理論を活用するための注意点

ある刺激に対する適応反応は徐々に鈍っていく

最初の1~2週間は新たな刺激に対して急激に適応が進みます。その後の数週間は徐々に適応反応は鈍化していき、3~6週間も経つとほとんど変化が起こらなくなってプラトーに達します。

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さらなる適応を引き起こすためには、だいたい6週間くらい経ったら、トレーニングによる刺激を変化させることが必要になるということがわかります。

例えば、トレーニングのボリューム、強度、頻度、メニューの変化やピリオダイゼーションの導入を行うことで新たな刺激を与えるようにしましょう。

ただし、あまりに短期間のうちに上記のような変更を行わないでください。確かに3週間後くらいから変化は少なくなりますが、3~6週間目の期間というのは、体に起こった変化が定着してなじむまでに必要なのです。

トレーニングで得られる効果は徐々に減少する

トレーニング歴が長くなり、適応がすすむにつれて、トレーニングで得られる効果は減ってしまうという現象があります。少しの効果を得るために、非常に多くのトレーニングの負荷(強度やボリューム)を要するようになっていくのです。そしてそれは同時に故障のリスクの増加も伴います。

理想的な回復の期間とは?

ここまでの話は『トレーニングは十分な強度でタイミングよく繰り返し行うこと、超回復を促すため回復期には十分な時間を確保すること、しっかり栄養と休養をとることが大切だ』という内容でした。

それではいったいどれくらいの回復期間を設ける必要があるのでしょうか?

答えは『個人個人によって異なる』です。

何を無責任な…と思うかもしれませんが、実はここが超回復の難しいところなのです。

トレーニングでストレスを受けるのは筋肉や骨などの運動器官だけではありません。精神、内分泌、消化、心肺機能などさまざまな要素に負荷がかかります。そしてこれらの回復期間は各要素ごとに異なっている上に、個人個人でも差があるのです。また、トレーニング歴が長いと徐々に刺激に対する反応が弱まるという現象があるため、どうしても初心者の時ほどの単純には超回復が起こりづらくなります。

初心者の場合

トレーニング初心者の場合はトレーニングで得られる刺激や回復力にあまり差がありません。

単純なプログラムで充分な効果が得られます。Strong Lifts 5×5などがお勧めです。

週3回くらいのペースで合間に1~2日の休みを入れながら、少しずつ負荷を上げながら、毎回全身をまんべんなくトレーニングしていくことで、毎回着実に体力レベルを向上させていくことができると思います。

初心者レベルを超えた人の場合

だいたい数か月くらいトレーニングを続けていくと、だんだんと1~2日の休みでは回復が追い付かなくなってきます。

十分に栄養も休養もとっているはずなのに、『何となくだるい、意欲が低下する、トレーニング記録が伸びない』などのオーバートレーニングの症状が出始めたら回復期間を考え直す時期にきていると思ってください。

トレーニングをある程度続けていくと徐々に扱える負荷が増してきます。それにより次のような問題が出てくるのです。

1つ目は回復にかかる時間が増すこと、2つ目は全身のトレーニングを一度に行うと体へのストレスが大きくなりすぎて回復で精いっぱいになってしまうことです。

そのため『ピリオダイゼーションの導入』や『分割法の導入』を行い、より複雑なトレーニングプログラムを組んでいきます。

これまで毎回のトレーニングでMAX更新を狙っていたのを、もう少し長期的なプランに変更し、1週間から数週間単位でMAX更新を狙っていくというようになります。

ピリオダイゼーションとは

ピリオダイゼーション(Periodization)とは『期分け』という意味で、簡単に言うとトレーニングの負荷を期間を区切って変えていく方法です。

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ピリオダイゼーションにおいて、まずはざっくりと鍛える期間とリフレッシュするための2つの期間に分けます。

鍛える期間では強度とボリュームをすこしずつ増していき、最終的に以前の限界を超えるようにピークをもってきます。その後にリフレッシュする期間があります。ここではあえて限界までは追い込まず、強度もボリュームも最低限に落とすことでデロード(蓄積した疲労を抜くことをDe-loadと呼び、文字通り負荷を除くという意味です)を行い、トレーニングを続けつつ回復を行います。

意図的に負荷を軽くする期間を設けることで体に蓄積した疲労を抜いてあげて、超回復を引き起こすために必要な強い負荷のトレーニングをリフレッシュした状態で行うという目的があります。

この鍛える期間とリフレッシュする期間を1つのサイクルとして、サイクルごとに徐々に強度を増やしていきます。

例 テキサス・メソッド

週3回のトレーニングを続けつつピリオダイゼーションを取り入れます。

1日目 高ボリュームの日。ボリューム重視で5×5法など、ある程度の負荷を扱いつつセット数やレップ数を十分確保します。

2日目 休み

3日目 回復期。負荷もボリュームも最低限度(軽めの重量で2セット×5レップほど)で行います。

4日目 休み

5日目 高負荷の日。なるべく高重量で行い、MAX重量更新を狙います。通常1セット×5レップで行い、ボリュームは少なめです。

6日目、7日目 休み

毎週少しずつ扱う負荷を増やしていきます。

分割法とは

分割法はスプリットルーティーンとも呼ばれる方法です。

全身をいくつかの部位に分け、一回ごとのトレーニングではそのうちいくつかの部位に限定して行うという方法です。例えば上半身の日と下半身の日というように分けたり、押す系の種目の日と引く系の種目の日というように分けたりします。

この方法のメリットは、筋骨格系にかかる負荷を分散することができるということと、部位ごとで見ると全身を一度にトレーニングする時よりも強い刺激を与えられるということです。

上級者の場合

ここまでくると数か月単位でMAX更新を狙っていきます。

基本はピリオダイゼーションの考え方を元にして、中期的および短期的に強度に強弱をつけながら、長期的にみると少しずつ伸びているという状態を作りますが、その期間がより長期になります。

ここまでいくとかなりのレベルに達してきており、個人個人の回復力やトレーニングのワーキングキャパシティーの差も大きくなってくるので、自分に合った方法を試行錯誤しつつ探っていくのが良いと思われます。

まとめ

超回復の理論はトレーニングで成長を続けるためには理解が不可欠な重要な理論です。後半はなかなか複雑な内容になりましたが、要点を絞ると以下のような内容です。

  • 超回復といってトレーニング後の一定期間は元の体力レベルを超える状態が訪れる。
  • 継続的な進歩のためにはトレーニングは十分な強度でタイミングよく繰り返し行うことが大切である。
  • 超回復を促すため回復には十分な時間を確保し、しっかり栄養と休養をとることが必要である。
  • 約6週間しか刺激に対する有効な適応は起こらないため、強度やボリュームを変化させながらピリオダイゼーションをうまく利用することが重要である。
  • 回復力や刺激に対する適応の程度は個人差があり、一定のレベルを超えると自分に合ったプログラムを試行錯誤しつつ探っていくことが必要となる。

これらの内容を知っていると自分でトレーニングプランをアレンジしていくことが可能となってきますので、ぜひ理解して今後の肉体改造に活用してみてください。

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