各段階における理論的なトレーニングプログラムの特徴

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自身が遺伝的限界にどれくらい近づいているかによって、成長の速度や、必要とされるトレーニングプログラムの複雑さは全く異なってきます。最適なプログラムを作るためには、それぞれの時期の特徴を理解し、自分がどの段階にいるかを見極める必要があります。

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トレーニングへの反応は段階によって異なる

筋力トレーニングは、バーベルなどの負荷を用いて生体にストレスを与え、それに対する適応としての筋力向上を得るという作業の積み重ねです。


人にはそれぞれ生まれ持った遺伝的な限界(potential)があります。遺伝的な限界にどれくらい近づいているかによって、上の図のようにトレーニングに対する反応は大きく異なっています。初級者は単純なプログラムで急速に筋力が向上していきますが、遺伝的な限界近くまで筋力を向上させた上級者では、複雑なトレーニングプログラムが必要となるわりに、成長もかなりゆっくりとしたものになります。

A:初級者の終わりごろ B:中級者 C:上級者

レベルが上がるほど、パフォーマンス向上が得られるまでに必要な時間は長くなっていく。

これらのことから、トレーニングプログラムを考える上では、初級者・中級者・上級者という区別は、筋力やトレーニング経験によって決まるものではなく、トレーニングによるストレスから回復するのに要する時間と、必要なトレーニングプログラムの複雑さによって決まります。

初級者

筋力トレーニングにおいての初級者とは、毎回のワークアウトで、強度やボリュームに変化をつける必要がない段階のトレーニーです。

初級者は一回のワークアウトのストレスから48〜72時間で回復が得られる段階です。つまり、月曜日にワークアウトをすれば、次の水曜日には回復が完了しているということです。そのため、48〜72時間のサイクルでトレーニングすれば、毎回のワークアウトで使用重量を増やすことができます。その積み重ねにより、短期間で急速な筋力の向上が得られます。初級者の時期は最も速い成長が得られる時期なのです。

初級者は48~72時間で回復が完了するため、月曜日(M)、水曜日(W)、金曜日(F)と毎回パフォーマンスの向上が得られる。

初級者にはリニアプログレッションといって、毎回のワークアウトで、直線的に負荷を増やしていくプログラムが効率的です。

初級者の期間は、筋力の向上が停滞してきた頃に終わりを迎えます。その時期は遺伝的な限界により差はあるものの、多くは3〜9か月目くらいです。回復に影響する要素を色々調整しても成長が停滞してきたら初級者の時期は終了となります。

初級者は、特異性が低いことも特徴のひとつです。簡単に言うと、ワークアウトの内容と結果との関連が薄いのです。例えば、エアロバイクを漕ぐだけでもスクワットの記録を伸ばせますし、低負荷のワークアウトを行なっても最大筋力を向上させることができるということです。これは中級者以上ではあり得ないことで、中級者以上は、筋肥大なら筋肥大、最大筋力向上なら最大筋力向上など、目的に合ったプログラムが必要となります。

中級者

中級者になると、初級者のようにワークアウト毎に使用重量を増やすことができなくなります。これは扱う重量が増し、一回のワークアウトによるストレスが増すために、初級者のように48~72時間では完全な回復が得られなくなることが原因です。

回復にかかる時間(つまり、重量を増やせるサイクル)は、中級者の初期は約5日程度です。そして、中級者の期間が終わる頃になると、その時間は8〜9日くらいとなります。そのため、実用的には1週間単位のスケジュールで使用重量を増やしていくのが目標となってきます。

中級者は約1週間単位でパフォーマンスを伸ばしていく。

これらのことから、中級者は約1週間を1区切りとしたときに、その中のワークアウトで毎回ボリュームと強度を調整する必要が出てきます。具体的には、月曜日はボリューム重視、水曜日は回復重視、金曜日は強度重視のワークアウトを行うといった具合です。

中級者にもなると、軽い負荷ではホメオスタシスを揺るがすことが出来ず、適応を促すことができません。進歩を続けるためには初心者の頃より強いストレスが必要になります。一方、ストレスが増すことによって、回復に長時間を要するようになります。中級者のトレーニングプログラムのポイントは、この相反する2つの要素(強いストレスと十分な回復時間)のバランスをとることにあります。

中級者の時期は、新しいスキルを身につける余裕が生まれるため、バリエーションに富んだエクササイズを行うことで成長を促すことができるのも特徴の1つです。

中級者の時期は、1週間単位にデザインされたプログラムで成長が得られなくなってきた時に終わりを迎えます。どれだけ忠実にプログラムを遵守できるかでも変わってきますが、早ければ2年目、遅ければ4年目くらいが目安となります。ただし、実は75%以上のトレーニーが中級者の時期を抜け出せていません。適切な中級者用のプログラムでトレーニングすれば、一流のアスリートでさえさらに成長することは珍しくありません。

上級者

遺伝的な限界近くまで筋力を高めたこのレベルに到達するのは、ほとんどの場合、ウエイトリフティングやパワーリフティングやボディビルディングを本格的にやっているような一部の人々に限られます。というのも、このレベルまで到達するためには相当な時間と労力を必要とするため、一般的なトレーニーでは到達できないことがほとんどです。

上級者では、成長に要するストレスはさらに増し、回復にかかる時間も、中級者のそれより長くなります。回復には1か月から数か月を要します。

これらのことから、上級者の場合は、ピリオダイゼーションの導入が必要になってきます。

ピリオダイゼーションのイメージ。ミクロサイクルは最小のストレスから回復までのサイクルで約1週間ほど。メゾサイクルはいくつかのミクロサイクルの集合。回復、ボリューム、強度など、ある目的をもったトレーニング期間の最小単位で約数週間ほど。マクロサイクルは数か月から1年単位。例えば、メインのコンテストの間の期間が1つのマクロサイクルとなることが多い。

中級者のときのように、例えば1週間単位のミクロサイクル内の毎回のワークアウトで強度とボリュームに変化をつけることに加えて、数週間単位のメゾサイクル毎に回復重視(デロード)、ボリューム重視、強度重視といった具合にワークアウトの目的を変化させなければならなくなってきます。

上級者は1~数か月毎にパフォーマンスを伸ばしていく。回復にかかるサイクルをいくつかのメゾサイクルに分け、メゾサイクル毎に回復(低強度、低ボリューム)→ボリューム重視(中強度、高ボリューム)→強度重視(高強度、低ボリューム)と変化をつける必要が出てくる。

上級者は限界近くまですでに筋力を伸ばしているため、さらなる成長を得るためには生体が耐えられる限界ギリギリのストレスが必要になります。少しでも刺激が強すぎればオーバートレーニングとなりますが、その反面、少しでも刺激が足りなければ成長は得られません。このように、上級者では、トレーニングの量の設定が非常にシビアになってきます。

矢印は負荷の許容量の限界を表し、オーバートレーニングになると、パフォーマンスが右肩下がりに低下する。

負荷の許容量も負荷の量も初級者から上級者になるほど上がっていく。

初級者は負荷の幅が多少ずれていても、急激なパフォーマンスの低下(オーバートレーニング)にはなりづらい。中級者から上級者になるにつれて、負荷が強すぎるとパフォーマンスの低下の度合いが大きくなる(右肩下がりの度合いが急峻になる)。

上級者は、目的に特化したトレーニングを行う必要があるため、中級者よりも扱う種目の数は少なくなる傾向にあるのも特徴の1つです。

まとめ

トレーニングに対する反応や、トレーニングに必要な複雑さはどれだけ筋力が遺伝的限界に近付いているかによって変わってくる。

初級者ほど単純なプログラムで急激に伸びるのに対して、上級者では複雑なプログラムを要するが伸びは緩徐となる。

初級者は48~72時間サイクルで重量を伸ばしていく。毎回のワークアウトで強度やボリュームに変化をつける必要はなく、少しずつ強度を上げるのみでよい。

中級者は1週間サイクルで重量を伸ばしていく。1週間の中で強度とボリュームに変化をつける必要が出てくる。

上級者は1~数か月単位で重量を伸ばしていく。ミクロサイクル内で強度とボリュームに変化をつけることに加えて、メゾサイクル毎に回復・ボリューム・強度に特化した強度・ボリュームの調整を要する。

参考

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