40〜50代を超えてからの筋力トレーニング

スポンサーリンク

高齢者の体の変化

年齢を重ねると、様々な機能の低下が起こってきます。

自身の体の動きや位置を感じる能力が落ち、バランスが低下しやすくなります。

関節は長年の使用による炎症や、使用しなかったことによる拘縮により可動域が制限されてきます。

筋肉、とくに大きな力を発揮する速筋線維の萎縮が進みます。

また、運動能力が低下することに加え、代謝も衰えます。しかし、通常は低下した代謝に合わせて食事量を減らすことはあまりないため、高齢者ほど体脂肪率は高くなる傾向にあります。

これら全てがフィットネスの低下となって表れます。さらに機能的に能力が低下してくると日常生活動作にも不具合が出てしまうほどになります。

高齢者にも筋力トレーニングは必要

バーベルなどを使用したトレーニングは、筋肉の萎縮に抵抗し、関節可動域を改善させ、パフォーマンスの低下を緩やかにしてくれます。

いよいよ死が近づいてきたとうような体力の低下した時期でなければ、高齢者も積極的に筋力トレーニングを行うべきなのです。

高齢者のトレーニングプログラムの修正点

ストレスから回復するまでと、さらに適応が起こるまでに、若い人よりも長い時間がかかります。

そのため、プログラムにいくつかの修正を加える必要が出てきます。

頻度を控えめにする

50代を過ぎると、週3回全身のバーベルでの複合関節種目を実施するのは難しくなってきます。

そのため、通常の48〜72時間サイクルよりも少し期間を延長することがお勧めです。

1-on 2-offモデル

休息日を1日増やして、1日ワークアウトしたら2日休むという方法です。

例 月曜日→木曜日→日曜日→水曜日→土曜日…

これは一定の間隔でワークアウトができるというメリットはありますが、暦上の週間スケジュールとはずれるため、予定の調整が難しい場合があります。

2回/週モデル

1週間に2回のワークアウトを行う方法です。

例 月曜日→木曜日→月曜日→木曜日…

1on2offモデルより若干頻度が落ちますが、実質的には大差はありません。曜日が固定できるので、社会生活的にはスケジュールの調整がしやすいというメリットがあります。

3 in 2モデル

これは2週間ごとに3回のワークアウトを行うという方法です。

例 月曜日→金曜日→水曜日→月曜日…

ワークアウトの間には3〜4日の休養日があり、上記の2つのモデルよりは若干保守的な方法です。60〜70代の人に適しています。

1回/週モデル

1週間に1度だけワークアウトを行う方法です。

最も保守的な方法で、進歩は遅くなりますが、オーバートレーニングのリスクはまずありません。70代後半〜80代のトレーニーが筋力維持目的に行うトレーニングに適しています。

主要種目で高齢者が考慮すべき点

スクワット

筋力の低下、過体重、関節可動域の制限などにより、十分な深さまでしゃがめなくなってきます。

この場合、レッグプレスマシンで代用することになります。

またベンチやボックスなどを利用して、動作域(ROM)を徐々に増やしていく(クォーター→ハーフ→パラレル)ことも良い方法です。

十分に肩関節の可動域がない場合、バーをかつぐことが困難な場合があります。その際にはハイバースクワットにしたり、セイフティースクワットバーを利用することを検討しましょう。

デッドリフト

スクワットが難しい人も、デッドリフトならばできるという人も少なくありません。

必要に応じて軽いバーベルやウエイトプレートを利用します。ラックプルなど、可動域を適切に制限する工夫も役立ちます。

ヘックスバーデッドリフトも良いオプションになります。

高齢者はもともと腰痛をもっている人も多く、デッドリフトの重量が増えてくると危険になることがあるため、バックエクステンションで代用することも検討します。

オーバーヘッドプレス

筋力の低下や肩関節の可動域制限などのため、プレスは難しい場合があります。

フルレンジでできない場合は、無理にプログラムに組み込むよりも、上半身の強化はベンチプレスに絞った方が賢明です。

実施する場合も、十分に軽いバーベルとウエイトプレートを利用しなければすぐに停滞してしまうので注意が必要です。

ベンチプレス

高齢者はオーバーヘッドプレスが難しい人が多いため、上半身強化のためにベンチプレス の重要度は高くなります。

肩の問題を抱えている人はグリップ幅を狭めにすると楽な場合が多いです。それでも肩の可動域が厳しい場合は、フットボールバー(スイスバー)などを使ってニュートラルグリップでのベンチプレス を行います。

懸垂(プルアップ)

懸垂は背筋や握力や上腕二頭筋を強化するのに優れた補助種目です。

しかし高齢者で自体重で何度も懸垂ができる人は限られます。

そのような場合はラットプルダウンで代用します。

セット数とレップ数

高齢者はハイレップ(8〜12レップ)でバーベルの複合関節種目を行うと、より強い関節痛や筋肉痛を起こしやすくなります。また、強度が低くなるのも問題です。

1セットあたり5レップまでにとどめておくのが筋力強化・筋肥大・回復のバランスがとれていて最も推奨されます。

セット数は、初心者プログラムの際にはスクワットやベンチプレス やオーバーヘッドプレスは3セット、デッドリフトは1〜2セットが良いでしょう。

初心者プログラムで停滞した後

例えばテキサスメソッドであれば、volumerecoveryintensityと3種類のワークアウトを1週間で行い、ボリュームと強度を高めることで対応しました。

しかし、高齢者ではうまくいかないことがほとんどです。

初心者プログラムで停滞した後の高齢者のトレーニングでは、覚えておくべきいくつかの基本事項があります。

• より頻回の負荷を下げる日が必要

• ボリュームを高めることのメリットは少ない

• 強度を下げるとトレーニング効果が失われやすい

• ウエイトは慎重に増やすことが必要

これらの基本を踏まえた上での戦略としては、「hard day&easy dayを交互に繰り返す、ボリュームは中等度で強度は高く保つ」というものです。

アセンディングセット法

これは1つの本番セットから成るワークアウトです。本番セットに向けてのウォーミングアップセットはボリュームの確保という意味もあります。

新しい5RMを達成したら、翌週からウエイトを最小量増やします。しかし、本番セットのレップ数は3→4→5レップと1週ごとに1レップずつ増やしていきます。

ちなみに、easy dayでは本番セットは行わず、最終ウォームアップセットまでにとどめます。

例 スクワットの5RMが100kgから102.5kgに増える場面を見てみます。

1週目

20kg 5レップ

60kg 5レップ

70kg 5レップ

80kg 5レップ

90kg 5レップ

100kg 5レップ(new 5RM)

2週目

20kg 5レップ

60kg 5レップ

70kg 5レップ

82.5kg 5レップ(重量アップ)

92.5kg 5レップ(重量アップ)

102.5kg 3レップ(重量アップ、回数減らす)

3週目

20kg 5レップ

60kg 5レップ

70kg 5レップ

82.5kg 5レップ

92.5kg 5レップ

102.5kg 4レップ(1レップ増やす)

4週目

20kg 5レップ

60kg 5レップ

70kg 5レップ

82.5kg 5レップ

92.5kg 5レップ

102.5kg 5レップ(1レップ増やす=new 5RM)

バックオフセット法

トップセットの後に重量を5〜10%減らしたバックオフセットを行う方法です。

こちらはeasy dayでは本番セットとバックオフセットは行わず、最終ウォームアップセットまでにとどめます。

例 同じくスクワットの5RMが100kgから102.5kgに増える場面を見てみます。

1週目

20kg 5レップ

60kg 5レップ

70kg 2レップ

80kg 1レップ

90kg 1レップ

100kg 5レップ(new 5RM)

92.5kg 5レップ×2セット

2週目

20kg 5レップ

60kg 5レップ

70kg 2レップ

82.5kg 1レップ(重量アップ)

92.5kg 1レップ(重量アップ)

102.5kg 3レップ(重量アップ、回数減らす)

95kg 5レップ×2セット(重量アップ)

3週目

20kg 5レップ

60kg 5レップ

70kg 2レップ

82.5kg 1レップ

92.5kg 1レップ

102.5kg 4レップ(1レップ増やす)

95kg 5レップ×2セット

2週目

20kg 5レップ

60kg 5レップ

70kg 2レップ

82.5kg 1レップ

92.5kg 1レップ

102.5kg 5レップ(1レップ増やす=new 5RM)

95kg 5レップ×2セット

アセンディングセット法とバックオフセット法の比較

どちらの方法も、重量を高めた後はボリュームを少しだけ減らすことで、心身にかかる負担を軽減しています。

2つの方法の違いは、volume の刺激を本番セットの前にもってくるか後にもってくるかという点です。

スクワットはアセンディングセット法が、ベンチプレス やオーバーヘッドプレスやデッドリフトはバックオフセット法が向いている傾向があります。

まとめ

高齢者であってもバーベルを用いた筋力トレーニングはメリットが大きい。

回復力低下、筋力低下、筋萎縮の進みやすさ、適応の起こりづらさ、関節の可動域制限、過体重などのよくある問題点を考慮し、プログラムの調整を行う必要がある。

コメント

タイトルとURLをコピーしました