筋肥大や筋力を高めるために意識すべきポイントをまとめました。基本的なことから、議論のあることまでいろいろあります。普段の生活でできていないことがないか、ぜひ見直してみてください。
継続すること
これが何より重要といっても過言ではありません。
週に2回であっても1年続ける方が、週に5回のトレーニングを20週間継続した場合より優れた結果が出ることがわかっています。
激しく、賢く鍛えること
トレーニングはベストを尽くすことが大切ですが、体調というものは日々変わります。その日その日の体調に合わせて柔軟にトレーニングプランを調整することが大切です。
全身満遍なく鍛えること
刺激されていない筋肉は成長しません。全身満遍なく鍛えましょう。
主要な種目をやり込むこと
トレーニング種目は、
- スクワット系:スクワットなど
- 水平プレス系:ベンチプレスなど
- 垂直プレス系:オーバーヘッドプレスなど
- 水平プル系:ベントオーバーロウなど
- 垂直プル系:プルアップなど
- ヒップヒンジ系:デッドリフト、ヒップスラストなど
に大別されます。
上記の6系統の代表的な種目は、多くの筋肉を一度に鍛えることができ、高重量を扱えるため、これらをやり込むことで、全身を満遍なく効率よく強化することができます。
バリエーションをつけること
上記のように主要な種目を徹底的にやり込むことが全身強化の近道ですが、それだけではどうしても単調になりがちです。主要種目のバリエーションや代替種目を補助種目として組み合わせてみましょう。また、同じ種目をやるにしても、時には重量や回数や種目順を変化させてみましょう。そうすることで、弱点強化になったり、気分転換になったりといったいろいろな効果が得られ、より強く逞しい肉体作りにつながります。ただし、補助種目はあくまで補助であるということは忘れないよう注意しましょう。
両側性と、片側性種目を併用すること
例えば、スクワットとランジ、ベントオーバーロウとダンベルロウ、バーベルカールとダンベルカールというように、筋力トレーニングには同系統でも、左右両側を同時に鍛える種目と、片側ずつ鍛える種目があります。これらの種目をどちらも偏りなく行うことでバランスよく鍛えることができるようになります。
体幹を鍛えること
フリーウエイトを使った筋力トレーニングは最高の体幹トレーニングになります。スクワットやデッドリフトやプルアップやベンチプレスなどをしっかり行うことで、強い体幹を作ることができます。
ウォームアップを行うこと
筋力トレーニングは効果も高い反面、怪我の危険性の高い運動です。必ずウォームアップは行うようにしましょう。
ウォームアップでは、筋肉や関節が温まるだけでなく、挑戦的な気分も高まっていきます。安全のためだけでなく、トレーニングで扱う重量を増やし、より効率的なトレーニングにするためにもウォームアップを行いましょう。
適切なフォームで行うこと
各種目には、主働筋と呼ばれる鍛える対象となる筋肉があります。適切なフォームで動作することで安全かつ確実に主働筋に刺激を与えることができるようになります。
ただし悩ましいことに、扱う重量が増えるほど、適切なフォームを保つことが難しくなっていきます。ウエイトを動かすことだけが目的となってしまい、主働筋への負荷が抜けてしまうことがしばしば起こります。かと言って、厳格に正しいフォームを守ろうとすると、扱う重量が大きく犠牲になってしまいます。動きをコントロールできるギリギリの重量を追求していくことが大切です。また、個人的にはセットの終盤で疲労が溜まってきて、最後の1レップを絞り出すときは、ある程度フォームが犠牲になるのは仕方ないと思っています。
適切な栄養管理を行うこと
栄養管理をおろそかにしていては、どんなにトレーニングを頑張っても結果はついてきません。自分が食べたものが自分の体を作っているということを忘れないようにしましょう。
また、サプリメントや食事のタイミングや回数などの枝葉末節にとらわれる人が非常に多いです。はっきり言って、「エネルギー収支」と「三大栄養素のバランス」の2点を管理することが栄養管理のほぼ全てです。楽して得する栄養管理なんてものは存在しません。
よく寝ること
よく眠ることで、ストレスが軽減されたり、ホルモンバランスが安定化したり、筋肉の合成が促されたりといった働きが安定します。
睡眠不足は肉体改造だけでなく、健康管理の大敵です。
現代人は忙しいために睡眠不足だと言われがちですが、TVやインターネットなどで時間を浪費しないようにすればもっと睡眠時間は確保できます。「睡眠はトレーニングと同じくらい時間を割くべきものだ」という意識をもつことが大切です。夜の睡眠だけでなく、隙間時間の仮眠などもうまく使いましょう。
ストレッチを行うこと
ストレッチと聞いて思い浮かべるのは、いわゆる柔軟体操ですが、実は、適切なフォームで行う筋力トレーニングはそれ自体がストレッチになります。
筋力トレーニングは、それ自体が柔軟性を高める効果があることが研究で示されています。筋肉が伸展する場面において、筋肉にはテンションがかかります。これによってサルコメア(筋組織)の再合成が起こり、筋肉が長くなり、結果として柔軟性が高まるのです(参考)。筋トレはアクティブストレッチの一種だといえます。
次に、いわゆる柔軟体操(パッシブストレッチ)ですが、これは筋肉の凝りをやわらげ、伸展時の痛みを和らげる効果はありますが、アクティブストレッチのような筋肉の長さを変える効果はありません。
可動域を十分に使った筋力トレーニングを行うことが、全身の柔軟性向上につながります。
心肺トレーニング、HIITを行うこと
長時間にわたって低強度の運動を続けるだけが心肺機能を高めるわけではありません。
強度を高めて間欠的に行うトレーニングが、いわゆるカーディオトレーニング(低強度で長時間行うトレーニング)がもたらしてくれるような効果が得られることが研究によって示されています。十分な強度の筋力トレーニングを行っている場合は、いわゆるカーディオトレーニングは必須ではありません。限界までスクワットを行えば、かなりの負荷が心肺機能にもかかっていることがすぐにわかると思います。
最近は、HIIT(high intensity interval training:高強度インターバルトレーニング)というトレーニングが注目を集めていますが、適切な強度の筋力トレーニングもHIITの一種だといえます。
高重量を扱うこと
近年、軽い重量で限界まで行うトレーニングでも十分な筋肥大効果があることがわかっています(参考)が、高重量を扱わないで良いというわけではありません。
筋肥大には、機械的刺激と化学的刺激のそれぞれが有効であることがわかっています(参考)。機械的刺激とはすなわち重量を高めることによって得られる刺激です。
爆発的な動作を取り入れること
ダイナミックなトレーニングは筋肉と神経の連動性や、全身の筋肉の連動性を高めるのに役立ちます。また、軽めの重量でも筋肉に大きな機械的刺激を与えることができるのも特長です。
ただし、動作の後半で負荷が抜ける傾向があるので注意が必要です。ボディビルダーの中には、なるべくコントロールした動作を行いつつ、動作のスピードを速めるように意識している人もいるようです。
筋肉に必要十分な刺激を与えること
筋力トレーニングで本当に効果があるのは最後の1レップであり、それまでの全ては予備疲労といっても過言ではありません。限界まで動作を続ける(オールアウトさせる)と最大限の効果を得ることができます。
ただし、真の限界まで動作を続けなくても、ある程度筋力は上がっていき、筋肥大も起こります。最近になって、一番筋肉が活性化するのは、オールアウトより数レップ前だということがわかりました(参考)。関節を守り、神経系の疲労を予防するという意味では、ギリギリまで追い込まないというのもひとつの選択肢になるかと思います(この辺りは各自の経験値によって変わってくる部分だと思います)。
フリーウエイトを使うこと
マシンを使ったトレーニングは動作の軌道の制限が大きいため、刺激される筋肉が偏ってしまいます。(自重トレーニングを含む)フリーウエイトを使ったトレーニングを行うことは必須です。
ただ、マシンには安心して高負荷がかけられるという利点があります。補強としてマシンやケーブルなどをうまく利用すると良いでしょう。
負荷を調整すること
基本は漸進性過負荷(プログレッシブ・オーバーロード)の法則です。回数・重量・インターバルなど、あらゆる要素のうちいずれかを少しでも以前のレベルより向上させることを常に意識しましょう。負荷を少しずつ増やしていくことで持続的な成長を目指します。
また、ある程度のレベルに至ってからは、ピリオダイゼーションといって周期的に負荷を増やしたり減らしたりする方法を取り入れたり、デロードといって意図的にトレーニングの負荷を減らして、うまく疲労を抜きつつ成長していくことを考えましょう。
参考
https://www.t-nation.com/training/20-almost-laws-of-strength-training
https://www.t-nation.com/training/8-laws-of-strength-training