トレーニングボリュームを決めるのは最後の数レップ

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トレーニングボリュームは筋肥大を引き起こす重要な因子です。

しかし、その量を測定する最適な方法は不明です。

トレーニングボリュームを測定する一般的な方法は、セット数や負荷のボリューム(セット数×レップ数×重量)などがあります。

しかし、これらは、筋肉の成長を誘発する機械的刺激の量を正確に表しているわけではなため、理想的ではない可能性があります。

筋肉を成長させる機会的刺激は、閾値の高い運動単位が制御している筋繊維が、活性化されて、ゆっくりと短縮するのにかかる持続時間です。

これらの特定の筋繊維を活性化しない収縮や、短時間での収縮は、あまり筋肥大の刺激となりません。

したがって、軽度〜中等度の負荷でのセットには、筋肥大を刺激しないレップがいくつか含まれていると考えられます。それにも関わらず、現状でのボリュームの測定法には、筋肥大を刺激しないレップがボリュームの一部として数えられてしまっています。

筋肥大のためのトレーニングボリュームを測定する場合、筋肥大を刺激するレップ(動作速度が遅くなり、閾値の高い運動単位が活性化している状態でのレップ)の数だけを測定するのが最適だと思われます。

機械的負荷刺激(mechanical loading stimulus)によって筋肥大は刺激される

筋肥大とは、単一の筋繊維の体積が、横断径および長さの増加によって、体積が増すことの結果です。

それぞれの筋繊維は、細胞膜上に存在する受容体が、機械的負荷や変形を検出すると、成長するように刺激されます。

筋肉は全体として機械的負荷を検知することはできないため、筋肉全体が受ける負荷は筋肥大とは無関係です。重要なのは、各々の筋繊維の受容体が検出した機械的張力です。

機械的張力は、筋繊維が活性化されているかどうかと、筋繊維が短縮する速度の2つによって決定されます。力と速度の関係性から、筋繊維を短縮する速度を遅くすると、より大きな張力をかけることができます。

筋繊維の活性化について

筋繊維は、それを制御する運動単位が動員されると活性化されます。

サイズの原理により、運動単位は低い閾値のものが、高い閾値のものより先に動員されます。したがって、動員される運動単位が多いほど、活性化される筋繊維が増えます。しかし、これには2点注意があります。

第1に、活性化される筋繊維の数は、動員される運動単位が増えるにつれて、「指数関数的に」増加します。したがって、高閾値の運動単位が動員されなければ、筋肉の中の大部分の筋繊維が活性化されないということになります。

第2に、低閾値の運動単位によって制御される筋繊維は、筋肥大にあまり関与しません。

これらの2つの理由により、筋力トレーニングの後に成長するのは、主に高閾値運動単位によって制御される筋繊維です。ただし、これはTypeⅡ(いわゆる速筋)の繊維だけが肥大するということではありません。高閾値運動単位によって制御される筋繊維は、TypeⅠ、TypeⅡA、TypeⅡXと幅があります。非常に高い閾値をもう運動単位のみが純粋にTypeⅡの筋繊維のみを支配しています。

では、高閾値の運動単位はどのように動員されるのでしょうか。

十分に高重量を用いたトレーニングの場合は、筋繊維を可能な限り動員する必要があるため、高閾値の運動単位はセットの始めから動員されます。

一方、中等度〜軽度の重量を用いる場合は、疲労によって低閾値の運動単位が制御する筋繊維が生む力の減少を補充するために、疲労が増大するにつれて徐々に高閾値の運動単位が動員されていきます。

筋繊維の収縮速度について

筋繊維は、たとえ活性化されていても、十分な機械的張力がかかっていないと肥大しません。例えば跳躍ですが、この運動には非常に高閾値の運動単位が動員されますが、筋肥大効果はほとんどありません。

十分に高い張力を生み出すためには、筋繊維はゆっくりと収縮しなければならないのです(厳密には筋繊維が短縮するだけでなく、一定の長さを維持したり伸長しても良い)。

筋繊維にかかる張力は、アクチン-ミオシンのクロスブリッジの数に依存します。

過去の実験で、単一の筋繊維において生み出される力を増加させたとき、クロスブリッジの数が増加することが発見されています。また、筋繊維の収縮速度を増加させると、アクチンとミオシンがより速く分離するため、クロスブリッジの数が減ることも分かっています。

高重量を用いたトレーニングの場合は、セットの始めから遅い収縮速度となります。

一方、中等度〜軽度の重量を用いる場合は、疲労が増大するにつれて徐々に収縮速度が遅くなっていきます。

機械的負荷刺激の量はどのように決まるか

上記のことから、筋肥大を促す刺激の量は、「高閾値の運動単位が動員されると同時に遅い収縮速度で実行されたレップ」の数で決まると言えます。このようなレップを「刺激するレップ(stimulating reps)と呼ぶことができます。

1RMの85%以上の強度(1〜5RM)では、通常セット内の全てのレップが高閾値の運動単位の動員を必要とし、同時に、低速度での動作となります。したがってセット内の全てのレップが「stimulating reps」であると思われます。

一方、中等度(6〜15RM)から軽度(15RM以下)では、セットの始めには高閾値の運動単位は動員されません。また、最大の意図で動く限り、収縮速度は最初は遅くなりません。レップを重ねるにつれて徐々に疲労が蓄積し、動員される運動単位が増え、動作速度が遅くなっていきます。つまり、セットの終盤の数レップのみが「stimulating reps」であると思われます。

強度とレップ数と筋肥大との関係

ここで、1〜5RMでトレーニングした時と同等の「運動単位の動員」と「収縮速度」が達成された時stimulating repsであると仮定します(実際には、この数は筋肉や個人差によって、より少なかったり(1〜4RM)、より多かったり(1〜6RM)する可能性があります)。

この仮定においては、5RMよりも軽い負荷を使用する場合、セットの最初の数レップは筋肥大の刺激はなく、セットの最後の5レップのみが筋肥大の刺激となります。下図参照

この図では、縦軸が強度、横軸が反復回数、赤い数字がstimulating reps、ぴんくの部分が筋肥大には関与しないレップを表しています。

例えば、3RMの強度で3レップ動作した場合、筋肥大を刺激するstimulating repsの量は3しかありません。一方、5〜15RMで限界まで動作を反復した場合、stimulating repsの量は5になります。

このモデルを用いると色々なことがわかります。

3RMで3レップ×3セットのトレーニング(stimulating repsは9)を行うよりも、5〜15RMで限界まで3セットのトレーニング(stimulating repsは15)を行った方が、筋肥大効果は高いといえます。

また、5RMで5レップ×3セットのトレーニングと15RMで15レップ×3セットのトレーニングを比較する場合、「セット数×レップ数」や「セット数×レップ数×使用重量」は大きく異なるにも関わらず、どちらもstimulating repsの数は15と同量であるため、筋肥大効果は同等であるといえます。

これらは過去の研究の結果と一致します。

まとめ

筋肥大を目的としたトレーニングを行う場合、トレーニングボリュームを測定するのに適した方法はstimulating repsの数を数えること。

stimulating repsとは、高閾値の運動単位が動員され、かつ、収縮速度が遅い動作である。

正確なstimulating repsの量は正確には分からないが、5RMは高強度と中強度の境界であり、限界までのラスト5レップ程度がstimulating repsと思われる。

5RMより高強度でのトレーニングをする場合は、stimulating repsを稼ぐためにセット数を増やす必要がある。

5RMより軽い重量を用いる場合は、限界近くまで動作する限り、セット数が同じであれば、ほぼ同等の筋肥大が促される。

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