減量・ダイエットは簡単には成功しない。正しい減量法とは

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ただ単純に食べすぎるから太るわけではない

a man measuring his waist

ほとんどの人は、ただ食べすぎるから肥満になると考えています。

確かに部分的には正しいのですが、真実ではありません。

肥満は非常に複雑な病態で維持されています。

基礎にあるのは内分泌環境の乱れです。各種のホルモンのバランスが異常をきたすことによって肥満は発生し維持されます。

例えば、成長期の場合は、維持カロリーよりもたくさん食べていても、背が伸びたり筋肉がつくだけで、脂肪はなかなか増えません。

一方で、病気の治療のためなどでインスリンやステロイドを使用する場合は、維持量のカロリー摂取にとどめていても簡単に脂肪が増えてしまいます。

カロリー計算の罠

カロリーが同じだからといって、生体内で同じ反応が起こるわけではないことに注意が必要です。

炭水化物で摂ったカロリー、脂質で摂ったカロリー、タンパク質で摂ったカロリー、アルコールで摂ったカロリーは、同じエネルギー量でもそれぞれ異なったホルモンの反応を起こすのです。

また、同じ炭水化物でも、砂糖で摂ったカロリーと、デンプンで摂ったカロリーも異なったホルモンの応答を引き起こします。

エネルギー摂取制限で減量しようとする罠

減量の基本は、維持カロリーよりも摂取カロリーを少なくすることです。これは揺るぎようのない真実です。

しかし、事態は単純ではありません。

維持カロリーは摂取カロリーや消費カロリーに合わせて大幅に変化します。食べる量を減らせば、その分だけ代謝が落ちて、維持カロリーは摂取カロリーと同等になります。運動量を増やしても、それに合わせて、実は休息時間が増えるので、長い目で見ると消費カロリーは大して増えません。

また、飢餓は体にとっては危機的事態であり、強力に空腹感が増えて減量に抵抗します。例え、肥満の人が正常体型に戻ろうとするような「正しい」減量であっても、体は抵抗するのです。

カロリー制限を行うどんなダイエット法も、短期的には有効ですが、6〜12ヶ月といった長い期間でみた場合は、ほとんどが失敗する(元の体重もしくはそれ以上に戻る)という多数の研究結果が、単純なカロリー制限のみでは絶対に痩せられないことを示しています。

体重は視床下部が決めた値(セットポイント)に維持される

上記のように、摂取カロリーや消費カロリーを変えても、体重が変わらないのには理由があります。

それが「セットポイント仮説」です。

体にとって維持すべき決まった体重(セットポイント)があって、このセットポイントから少しでも実際の体重がずれたなら、各種ホルモンの働きによって、再びセットポイントに実際の体重が戻るという説です。

セットポイントは視床下部が決めていると言われます。そして、セットポイントの調整に関与してくるのが、インスリン・レプチン・グレリン・コルチゾール・甲状腺ホルモン・成長ホルモン・テストステロン・エストロゲンなどです。

ホルモンコントロール

インスリン

インスリンは、炭水化物・タンパク質・脂質など、あらゆるものを食べた時に分泌されるホルモンです(ちなみに、ゼロカロリーの人工甘味料の摂取でも起こります)。

インスリンは細胞内に糖を取り込ませる働きを持っています。

現代人の問題点は、インスリンが効きにくいということ(インスリン耐性)です。

これは、四六時中何かを食べる生活をしているために、インスリンがいつも出ている状態となり、徐々にインスリンが効きにくくなるという現象です。

インスリン耐性が起こると、さらに多くのインスリンが必要となり、これがさらなるインスリン耐性の悪化を引き起こすという悪循環に陥ります。つまり2型糖尿病です。

重要な点は、『インスリンの量がセットポイントの主要な決定因子である』ということです。実際、2型糖尿病患者でも、太っている人はインスリン耐性が主な病態であり、インスリン分泌過多な状態です。ここからさらに病状が悪化して、インスリンが出せなくなって枯渇してくると、2型糖尿病患者でも痩せてきます。

セットポイントの改善のためには、インスリンが低い状態を作ることが肝要です。そのためには、一切の食事を摂らない時間をもつこと(間欠的断食;インターミッテント・ファスティング)が有効です。これによりインスリンの感受性が向上し、インスリンレベルを低く保つことが可能となります。成功する減量のためには「何を食べるか」だけでなく、「いつ食べるか」も考慮する必要があるのです。

レプチン

レプチンは脂肪細胞で作られるホルモンで、脂肪が増えたときに摂食行動を抑制し、痩せる方向に誘導します。

しかし、いったん体脂肪が増えすぎると、レプチンは容易に耐性ができて効かなくなってきてしまいます。人間の体は簡単に太れてしまうのです。

レプチン耐性を防ぐためには、そもそも太らないことしか道はありません(これができていれば苦労はしませんが)。

グレリン

グレリンは胃が空になったときに胃から分泌され、空腹を感じさせるホルモンです。また、俗に腹時計という言葉があるように、ある程度定期的に分泌されます。

グレリンは空腹を知らせるホルモンですが、真にエネルギーが枯渇した飢餓状態を知らせるホルモンではありません。

間欠的断食を始めてしばらくは定期的に波のように空腹感が起こりますが、これはグレリンの定期的な分泌亢進のためです。水を飲んだり、他の作業をしたりして、無視しましょう。

コルチゾール

体がストレスに晒されると分泌量が増えるホルモンです。

ハードなトレーニング、睡眠不足、食事制限、人間関係、仕事など、あらゆる肉体的・精神的なストレスによって分泌量が亢進します。

コルチゾールによって、筋肉は減り、(とくに腹周りの)脂肪が増えます。免疫力も低下し、病気になりやすくなります。また、グレリンの分泌亢進を促すため、食欲が増します。

コルチゾール対策としては、よく寝ることです。睡眠の量と質を高める努力をしましょう。また、適度な運動や瞑想も有効です。有酸素運動はストレス緩和に有効ですが、やりすぎるとコルチゾール分泌を増やすため、競技上必要なければ長くても30〜40分程度までにとどめましょう。

甲状腺ホルモン

甲状腺ホルモンは代謝のスピードを司るホルモンです。甲状腺ホルモンが増えると代謝が盛んになり、筋肉は増え、脂肪は減ります。

摂取カロリーが慢性的に過少であったり、睡眠不足であったり、ストレスに晒されると、甲状腺ホルモンの分泌量は低下します。

単なるカロリー制限ダイエットが、長期的には必ず失敗する原因のひとつが、甲状腺ホルモンの分泌低下なのです。

そこで、チートデイ・チートミールが必要とされます。チートの本質はリフィーディング、つまり、枯渇したグリコーゲンを補充し、代謝の停滞を打破することです。ただし、大部分の人々にとってチートは大して重要ではありません。ボディビルダーのように、すでに体脂肪が非常に少ない人が、数ヶ月に渡る長期的なカロリー制限をする場合にのみ優れた効果があります。また、ほとんどの人はチートしすぎていることが多いです。

甲状腺ホルモン分泌を停滞させないためには、まずは良く寝ましょう。

そして、減量は過度なペースで行わないことです。1週間あたり体重の0.5〜1%ほどの減量に止め、1ヶ月くらい減量したら1ヶ月くらいは維持期を置きましょう。

成長ホルモン

成長ホルモンは肉体改造において最重要なホルモンといっても過言ではありません。細胞の再生を促進し、筋肉を増やし、体脂肪を減らしてくれます。

残念なことに、成長ホルモンは歳をとるにつれて減っていきます。これが、歳を取るほど太りやすくなる一因です。

成長ホルモンを増やすには、やっぱり良く寝ましょう。とくに睡眠の最初の90分はゴールデンタイムです。ここでいかに質の高い睡眠が取れるかが重要です。

あとは、強度の高い運動を行うことです。スプリントなどを用いたHIIT(高強度インターバルトレーニング)、筋力トレーニングが最適です。怪我が心配な場合は、スロートレーニングでも構いません。

テストステロン

いわゆる男性ホルモンです。筋肉を増やし、脂肪を減らす効果があります。性欲を増したり、骨を丈夫にする働きもあります。

テストステロンを増やすためには、良質な睡眠、良質な脂質の十分な摂取、十分なカロリー摂取、ストレス発散が有効です。現代人はマグネシウムが不足しがちなので注意してください。

エストロゲン

いわゆる女性ホルモンです。脂肪の蓄積と燃焼にも関与しています。

エストロゲンが過剰になると、女性だけでなく、男性も体脂肪が蓄積してしまいます。

食べすぎ、過度の飲酒、睡眠不足などはどれもエストロゲン過剰につながるので避けましょう。

食事について

先にも述べたように、『何を食べるか』と『いつ食べるか』が重要です。

何を食べるか

まずは砂糖の類を避けましょう。砂糖は、インスリン感受性を強力に悪化させます。気分の落ち込みやイライラ、集中力の低下をもたらす上に、依存性まであります。避けるべき精製糖は、商品の原材料名には果糖ブドウ糖をはじめとしたさまざまな名称で記載されているため気をつけてください。

十分なタンパクを摂りましょう。体重辺り1.6〜2g/kgが目安です。タンパク質は筋肉の維持に重要です。また満腹感をもたらしてくれます。プロテインシェークは、人工甘味料が多く、満腹感は乏しいため、あまりおすすめはしません。

良質な脂質を摂りましょう。テストステロンの産生には脂質が必要です。魚油やナッツ類に豊富なω3脂肪酸は不足しやすいので意識して摂取しましょう。

いつ食べるか=間欠的断食(IF;intermittent fasting)について

IFは筋肉を維持しつつ体脂肪を減らすための強力なツールのひとつです。

IFを行うことでインスリン感受性が増し、インスリン分泌量が下がり、体重のセットポイントが下がります。

また、内分泌環境が整うせいか、自然と摂取カロリーが適正化され、減量が苦にならずに進みます。

筋肉の減少を心配される場合が多いですが、体がエネルギーとして使う順番はグルコース→グリコーゲン→体脂肪→筋肉です。体脂肪が多量に余っている状態で、筋肉は簡単には減りません。実際に、1日3食と同量のカロリーのままで、1日1食にしたところ、体重は大して減らずに体脂肪だけが有意に減ったという研究があります。また、IFと通常の食事摂取群を比較すると、IF群は筋肉量は有意には減らずに、体重と体脂肪が有意に減ったという研究もあります。

空腹感も、グレリンの定期分泌のせいで最初の数日は辛いですが、すぐに慣れます。

すでに体脂肪率4〜5%ほどで、2日以上断食する、というのはおススメしませんが、そうでない人がほとんどだと思います。安心して断食してください(すでに糖尿病の場合や、妊婦や未成年は除きます)。

続けやすさとしては、毎日16時間断食するというリーンゲインズや、週に2〜3日(例えばトレーニングしない日)は24時間断食するというスタイルがおすすめです。このような短期的なIFは酵素ドリンクの類のようなサプリメント類の準備も要らず、手軽です。

睡眠について

睡眠不足は深刻な状況です。日本人の平均睡眠時間はとくに短く、6時間に満たないとも言われています。一般的に目標の睡眠時間は7〜9時間と言われます(高齢になるほど短くなる)が、平均睡眠時間がそもそも足りていません。

睡眠不足は、肉体改造の大敵であるばかりか、タバコよりも体に悪いという事実は意外と知られていません。

睡眠時間を確保するためには、無駄な時間を減らすことです。スマホでゲームをしている暇があったら1秒でも早く寝ましょう。

足りない分は昼寝でカバーしましょう。昼寝は横になって30〜90分くらい確保できれば理想的ですが、座って数分眼を閉じるだけでも効果はあります。ぜひ昼寝を習慣にしてください。

また、睡眠の質を高めることも大切です。とくに寝入ってから最初の90分はゴールデンタイムです。ここの質が、睡眠全体の質のほとんどを左右します。

寝室を真っ暗にしたり、寝る前に脳を退屈にさせたり、深部体温を計画的に下げたりしましょう。

まとめ

肥満はカロリー制限のみでは治らない。

ホルモンバランスを適正化することが必要。

ホルモンバランスは、食事・運動・睡眠の3つを適正化することによって初めて改善し得る 。

食事は、良質な栄養を含む食品をバランスよく摂取することと、定期的に空腹の時間を保持してインスリン感受性を高めておくことが大切。

睡眠は、7〜9時間が目標。これは難しいことが多いが、昼寝を使ってサポートすると良い。また、眠り始めの90分の睡眠の質は死守する。

運動は、筋力トレーニングやHIITなどの高強度の運動が最適。有酸素運動はやり過ぎないように注意する。

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