音楽を聴くとトレーニングの効果が高まるのはなぜか

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皆さんはトレーニング中に音楽を聴きますか?実は音楽にはいろいろな効能があることがわかっています。今回はそのあたりのことを紹介したいと思います。

参考:https://www.scientificamerican.com/article/psychology-workout-music/

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運動と音楽の関係

とくにここ10数年ほどで、音楽が運動中の精神や身体にもたらす効果についての研究が盛んにおこなわれてきました。運動中に音楽を聴くことで無意識のうちに、疲労や苦痛を軽減し、気分を高揚させ、持久力を向上させ、代謝を活性化させることができます。

運動と音楽に関する世界的権威であるブルネル大学のCostas Karageorghis氏は、その研究の著書において「音楽はパフォーマンスを向上させる合法ドラッグだと考えられる」と記しています。

ワークアウトに最適な音楽を選ぶことは、ただ単にアップテンポの力強い曲を選べば良いというような単純な作業ではありません。これまでの記憶・そのときの気分・曲によって想起されることなども考慮すべきです。人によっては、メロディーよりも、歌い手の込めた感情や歌詞の内容の方がモチベーションを高めてくれることもあります。

最初の運動と音楽に関する研究は少なくとも1911年まで遡ります。アメリカの発明家であるLeonard Ayresは、競輪選手達がペダルをこぐスピードは、バンドが演奏している間の方が、演奏していない間よりも速くなることを発見しました。それ以来、精神学者達は、あらゆる強度の身体活動中に、音楽がパフォーマンスに与える影響について、いくつもの研究をしてきました。

音楽による違い

ワークアウト中の音楽で重要な2つの点があります。ひとつはテンポで、もうひとつは「リズム・レスポンス」です。リズム・レスポンスとは、どれくらい音楽に乗って体を動かしたくなるかということです。人間には、うなづいたり、つま先でタップしたり、踊りだしたりといった具合に、音に合わせて体を動かそうとする本能があります。どのような音楽がこの本能を刺激するかは、文化によっても、人によっても違ってきますが、概して、速いテンポで強いビートの曲が好ましい傾向にあります。ある調査によると、ヒップホップ、ロック、ポップスが、ワークアウト用の音楽として人気があるという結果でした。

また、自分が好きな曲や、流行の曲も気分を高めてくれる効果が高いと言われています。

精神学者によると、2ヘルツのリズムを我々は本能的に好むようです。これは毎分120拍(1秒間に2拍)に相当します。指をタップしたり、歩くように指示されると、多くの人は無意識のうちに120拍/分程度のリズムになるそうです。

ただし、ランニングやトレッドミルを行うときは、多くの人にとって160拍/分のリズムが好まれます。以前は180拍/分ほど速いと良いと言われましたが、最近の研究では145拍/分以上では、それ以上テンポが速くなっても効果は高まらないとされています。また、ラップのような早口でたくさんの歌詞が刻まれる曲もゆったりした歌詞の曲より効果が高まるようです。

音楽の効果

運動中に音楽は必要ないと思っている人もいますが、リズミカルなビートに動きを合わせることで、より効率的にエネルギーを使うことができるようになります。動作の細かい点に意識を向けずに動くことができるようになるのです。シェフィールド・ハラム大学のC. J. Bacon氏の2012年の研究によると、BGMがある場合はない場合よりも、同じ運動にも関わらず7%の酸素消費量の低下がみられたということでした。音楽はペースを一定に保ち、エネルギーの浪費を防ぐ役割を果たしていたようです。

この理論を応用して、バージニア大学のShahriar Nirjon氏はランナーの心拍数に合わせて選曲を行うミュージックプレイヤーを開発しました。耳たぶに小型の加速度計とマイクロフォンを埋め込み、血管の拍動を感知します。そうして集められたデータはスマートフォンを介してリモコンへ送信され、次の曲が選ばれるという仕組みです。

最近の研究によって、音楽によって運動が促進される仕組みも解明されてきました。意識を逸らすことがその一つの回答です。人の体は常に自身をモニタリングしています。運動を続けてしばらくすると肉体は疲労し始めます。呼吸や心拍が荒くなり、体温が上がり、汗をかくなどのサインを感知して「休め」という指令を出します。音楽は、意識を逸らすことで、脳にこのような疲労のサインを感じにくくしています。同様に、自分が「頑張っている」ということも感じにくくし、あたかも楽に動作しているようになるのです。

Karageorghis氏は、「単調で退屈だと感じる運動ほど、効果は大きく、そのようなネガティブな感情を感じにくくすることができる。意識を逸らす効果は、強度が低め~中等度の運動でよく発揮される。疲労を感じにくくする効果は高強度の運動ではあまり得られないが、疲労に積極的に立ち向かう精神状態を作ってくれる。適切な音楽は気分を高め、疲労を軽減してくれる。危険が及ばない範囲内で疲労を感じにくくすることは素晴らしいことだ」と述べています。

音楽は、人々の気持ちを強くすることで持久力も高めてくれます。音楽を聴くことは喜びを伴う行為であり、鍵を開けるように気分を解放的にしてくれます。歌い手に感情移入することでより一層モチベーションを高めてくれます。

困難に打ち勝つようなストーリーのミュージカルなどの曲を聴いた場合はどうでしょうか。そのような曲は、メロディーや歌詞で気分をウキウキさせるだけでなく、その劇の登場人物についても想起させてくれます。このようにして、トレッドミルの上にいながらにして、まるで劇の中の登場人物として困難に挑戦しているような気分になれます。2012年には「ゾンビ・ラン」というスマートフォンアプリも開発されています。このゲームは、ランニングをすることで弾薬や薬剤を集めながら様々なミッションをこなすことでゾンビの世界で生き延びるというものです。

聴覚と運動の関係

音楽による気分の変化は直感的なもので、進化の過程で初期からあるような脳の最も古い領域に刻まれているものなのです。人の脳において、視覚や聴覚や触覚などの感覚はそれぞれ別の領域において感じるようになっていますが、あるひとつの感覚を理解するために、他の感覚も動員されるようになっています。例えば、ある見たものが、違う音を聞いていると違ったように見えたりするのです。音楽と運動は密接に結びついていて、近年の研究でもそのことが示唆されています。じっと座ったままであっても、楽しい音楽を聴くと、脳の中の運動をつかさどる領域が活性化するのです。他にも、大きな音を聞くと、それが何の音であるか考えることもなく飛び上がってしまうように、聴覚と運動は反射的な反応で結びついているようです。また、この反射回路は、音楽のようにとくに驚かないような音でも活性化することもわかっています。

お勧めの音楽

運動の強度に応じてジャンルを選ぶのはお勧めです。ポップスはウォームアップやクールダウンに合っており、ヒップホップやロックなど、激しい曲は筋トレによく合います。

プレイリストに並ぶ曲のテンポはなるべく一定にすると良いと言われます。その方が運動の効率が上がるためです。

飽きがこないように定期的に曲を変えることも有効です。飽きてしまうと音楽の効能が落ちてしまうからです。

まとめ

音楽の効能

  • 苦痛を感じにくくなる
  • 気分を高揚させることができ、挑戦的な気持ちになる
  • 自然と体が動き、繰り返しの動作の無駄が減る

音楽は良くも悪くも意識を逸らす効果を持っています。苦痛を感じにくくするのは良い点ですが、フォームの注意点などの細かい点に意識が向かなくなるのは悪い点です。ある程度その運動に慣れるまでは注意が必要です。

球技などの、判断を繰り返し行うような運動では導入しづらいですが、筋トレやランニングなど、私たちが普段よく行う運動は単調な動作の繰り返しであり、音楽を聴く効果が発揮されやすいといえます。ぜひ日常のトレーニングに音楽を取り入れてみてください。

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